指で描いた布袋図 (117) | okuda8888のブログ

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池大雅 「布袋図」     紙本

 

池大雅が指で描いた「布袋図」である。画中「九霞(大雅の雅号)指墨」とあるので、指で描いた指墨画とわかる。

 

 

大雅は20歳代後半に、よく指墨画を描いたと言われる。爪による細く尖った線描、指によるゆったりした線描、手の掌を利用したたらし込みのような表現などに惹かれ、指墨画を相当描いたようである。この作品も大雅若い頃の作と言えよう。

 

 

 

この絵の魅力は、指墨画という表現方法だけでなく、布袋の魅力を遺憾なく表現しているところであろう。布袋は中国の唐末の僧侶をモデルとし、大きな袋を持ち、太鼓腹で

大らかな人柄が好まれ、日本では七福神の一人に数えられている。

この図では、大きな袋(頭陀袋)がなんとも言えない豊さを表し、杖が左から右にシャープに引かれ、画面を締めている。

 

また、布袋の表情がなんともユーモラスで見る人を幸せにしてくれる。笑っている表情が、大きな心の豊さを表しているかのようである。右目と左目を微妙に違うように描き、親しみのある人物に描いている。

 

 

「画は人なり。」と横山大観は述べているが、画は描いた画人を反映する。この「布袋図」を描いた若き日の池大雅は、布袋様のような大らかで、誰からも親しまれ、人に幸せを与えるような人物であったのだろう。