平田玉蘊 「梅図」(歳首試筆) 紙本
横29.0㎝×縦100.0㎝
平田玉蘊が歳の始めに描き初めをした「梅」図である。
新春らしく、壮年期の梅の木に咲く花を描く。墨のみで描くが、若く伸びる枝、かぐわしい梅の花を、落ち着きある筆致でどっしりと描いている。描かれた年の表示はないが、玉蘊40代以降の円熟期の作と推察される。
本紙上部が傷み、一部紙が剥げて残念な状態であるが、この絵が示す深い味わいは損なわれることなく、画面から伝わってくる。
画の中央右側に「歳首試毫 玉蘊」(印 玉蘊 女子 )とあり、年の初め描き初めと示されている。
墨の濃淡で幹の立体会を出し、蕾や開花した梅の花が迷いのない線で一気呵成に描かれる。小品であるが、玉蘊の力量を感じさせる絵となっている。