織田瑟瑟 「有明桜図」 紙本 縦128cm×横28cm
桜のみを描く織田瑟瑟(しつしつ)(1779年~1832年)の有明桜図である。
落款に「有明桜図 戌辰(1808年)壬〇織田女瑟瑟 」とあるので、瑟瑟29才の時の作と分かる。
瑟瑟29才の若々しく生命力あふれる桜図である。生涯桜のみを描いたといわれるが、よほど桜の花に魅せられたのであろう。桜の花びらは幾重にも重ねて描かれ、匂うような美しさである。桜の葉も先異様に尖り、勢いよくリズミカルに描かれている。
織田瑟瑟が桜の絵を描いていると、飛ぶ鳥が実物と間違えて絵の桜に泊まり来た、という逸話が残されているが、瑟瑟の桜図の魅力を語るにふさわしいエピソードであろう。
実人生は、織田信長に通じる家に生まれたものの、初めの夫(縫殿助岐山)とは瑟瑟18才の時死別し、再婚した夫(信章)との間に男子を設けたものの、34才の時またしても夫は病死する。それ以降は息子貞逸の成長を楽しみに、また絵も教えていたようであるが、出家し尼となり54才で静かに死を迎える。桜に魅せられ、桜画を描くことに専ら情熱を傾けた女性画家であった。
桜の季節には、桜画家織田瑟瑟の絵を掛け、彼女の一生を思い、春を過ごしたいと願っている。




