【471号】2016/8/10

 

練習が終わった。

 

相変わらず、はる香は時間になってもモゾモゾしている。もう~早く、帰れよ!

 

そこに、森山が来た。何だよ、今度は?

 

「浩太!お前、間違っただろ」

は?う、うそ?

「俺、見ちゃったもんね~」

TSUTAYAをぐるぐる、回す。

 

ああ~!やらかした俺!

ふと見ると、はる香は顔を真っ赤にして、同じTSUTAYAのショッピングバッグを思わず隠していた。

 

「こ、これ間違った?あ~ゴメンゴメン」

俺は不自然なほど大きな声を出し、森山からTSUTAYAをぶんどった。

 

「何?何?」

富岡が寄ってくる。うわ~、来るな!

 

「いや、何でもないって。な、森山」

(俺は必死に、ウインクした)

「・・・お、おう。お前、“アルルの女”と間違ってるぞ。明日で良いから、持って来いよ。じゃあな!」

足早に部室を出る森山に、俺は心の中で両手を合わせた。

(サンキュー!)

 

このタイミングを逃したら、次はない。俺はさっと近づき、小声でささやく。

「はる香ちゃん。ごめん、間違ってさ、こっちのCDだったみたい。来週まで、貸してあげるから」

はる香は、相変わらず、恐る恐る俺を見る。俺はゆっくりと、頷いた。

 

「じゃあ、・・・ありがとうございます。こっちは、お返ししますね」

俺の手元に、TSUTAYAが戻った。チラリと中を見ると、やっぱり。

29番のCDだった。

 

ああ~、焦った。森山には、すぐに口封じで何かで買収しないと(笑)。

 

(つづく)