「・・・・ま、後は別の話だけど、中学浪人して、予備校にいくらかかるか、調べたの浩太?」
いや、まだだった。

「で、来年、見事にK大付属に合格するとして。入学金、授業料、その他、部活の費用、いくらかかるか、考えてみたの?」
うーん。確かに、家計への負担は少なくないだろう。

 

「もし、だよ。浩太が一浪してでも来年K大付属に行ってサッカーやりたいっていうことなら、あたし、部活の費用くらいだったら出してあげられる」
「えっ?姉貴、働くの?美容専門学校に行って、美容師になるんじゃなかったの?」

「あたしさ、来年、就職するわ。これはもう、母さんたちに言った。で、母さんがパートに出るなんて言っているから、そんなことしないでって、言ったわ」
・・・・そんなやり取りが。

 

「バスケだけが人生じゃない。美容師だけが職業じゃない。今のバイトで、そう分かったの」
俺は驚いて、姉貴を見つめた。

 

「浩太、だから、お金のことは無関係に、本当に自分が何をやりたいのか、それだけ、考えてよね。お金は代わりに出してあげられるけど、人生の決断は代わってやれないもの。じゃあね」

姉貴は言いたいだけ言うと、さっさと俺の部屋から出て行った。俺は正直、姉貴を見直した。

(つづく)