『パパ大好き』(アメリカの原題はMy Three Sons)は60年代の30分間のモノクロTV番組。

3人の息子と父親、おじいちゃんの男ばかり5人家族のファミリードラマであった。

地味な内容だが、良心的なストーリー展開で、当時何かと話題になっていた『わんぱくデニス』だとか『うちのママは世界一』などよりも、私はこっちの方が好きだった。

印象に残るエピソードがある。

ある晩、父親と末っ子が車で近くの米軍基地に出かける。二人とも正装(スーツにネクタイ)で基地で開かれるパーティに参加するのだ。基地に入場するには(招待状を兼ねたものと思われる)許可証が必要。

ゲートで車を止めて、警備員に許可証を提示するシーン。パパは提示し、OKと言われたが、息子は家に置き忘れたことに気づく。パパ『困ったなぁ、あれがないと入れないんだぞ。忘れるなよと言ったのに』。警備員『何か、身分を証明できるものはありませんか』。ポケットを探ると算数のテストの答案用紙が見つかり、パパが警備員に差し出す『これでどうかね』。警備員『君は○○君かね』、息子『はい、そうです』。警備員『85点か、まあいいでしょう。お通り下さい』。

こうして二人は楽しいパーティに参加できた。

警備員が規則を厳密に適用すれば、入場させてはならないはずだが、本人を確認できる書類だと解釈したわけである。

ゲートの警備員の役割は、不審者を入場させないことであるから、目的はちゃんと果たせている。

なかなか、センスのあるストーリーである。

そして、ルールに厳格であることよりも、本来の目的にかなった行動をすべきであることを示唆していて教育の観点からも良いドラマであったと思う。

このドラマを見たのは小学生のころであるが、今でもその感想は変わらない。

あの頃のアメリカのTVドラマには、ときたま、このようないい感じのシーンがあった。

(同様にマイナーなドラマ『ビーバーちゃん』(原題はLeave it to Beaver)もなかなか良かった)

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