『807』との出会い

中1か中2の頃、工業高校の学園祭で、初めてアマチュア無線の公開運用を見た。

当時のアマチュアは無線機を自作しており、工業高校でも当然そうだった。

『UY-807という真空管を使った送信機が使われていて、格好良いなと思った。

機能美を感じたのである。

★アマチュア無線の送信機の例(メーカー製)

真空管はナス管、ST管、GT管、MT管と発展し、1960年代はMT管の時代であった。

807はST管。ST管は古臭くて時代遅れと感じていたが、この807だけは特別に思えた。

しかし数年後、私がアマチュア無線を始めた時、送信機に使ったのは807ではなく『2E26』だった。入手しやすく小型で高性能だったからである。

当時は、真空管がトランジスターに置き換わってゆく過渡期でもあった。

雑誌の記事も、徐々にトランジスターの記事が増え真空管の記事は減っていった。

真空管が好きな理由は?

しかし大人になってからは、807のみならずST管全体が好きになった。

外見が野暮ったいし、性能もいまいちだが

           愛嬌のある古風な形を好ましく感じるようになったのだ。

これは飛行機の分野で昔好きでなかった複葉機が今好きであるのと似ている。

人は大人になると、懐かしい、穏やかな物の良さ気付くのかもしれない。

 

★複葉機は翼が2枚以上ある初期の飛行機。現代の飛行機は単葉機(翼が1枚)


★1909年の航空レース(賞金20万フラン)のポスター、複葉機や気球等が描かれている

この種のレトロなポスターも、私は好きです。(復刻版はがき)