今日、5月23日は亡き師匠のご命日です。


随分経ちました。



実力もご人格も偉大で、


またその趣味の高さは唖然とするほどかっこよくて、酔いました。生きる達人でした。



あの巨大社中の、私は最後の門人です。よく可愛がって頂きました。



私がお箏をやめていたり、主婦の片手間でお箏をしていただけならこうまで思わなかったかもしれませんが、


私はお箏で生計を立てて来ましたから、お箏がなかったら生きて来れませんでした。

だから先生は命の恩人なのです。感謝なんて言葉には納まらない、例えようのない大恩です。



亡き師匠はプロでした。まさにプロフェッショナルという言葉があてはまる、今の時代では考えられない偉大な先生でした。



そのお姿を見ていましたから、かっこよくて、おこがましくも

『あんな風になりたい』

と思ったものでした。



最後のお稽古は平成2年2月、最後のお月謝袋は2月の印を頂いたままです。まだとってあります。


曲は三弦「松竹梅」でした。


最後のお稽古の時

「弾き込んでおきなさい。役に立つから。」

とお言葉頂きました。


それから検査入院され、そのままご闘病に入られました。



私はあの

「弾き込んでおきなさい。役に立つから。」


このお言葉を遺言のように感じます。





私も今年で63才になります。


17才で師匠となり、あのお言葉を頂いた時は28才でした。思えば遠くに来たもんだ、


万感胸に迫る心境です。


私にお箏を与えて下さり、私に今日という日を与えて下さった先生に、今日は心から感謝したいと思います。