40歳手前で前十字靭帯断裂と診断されたら

40歳手前で前十字靭帯断裂と診断されたら

40歳手前で前十字靭帯断裂したことに関するあれこれを備忘録として。そして誰かの役に立てば幸いです。

先週のMRIの結果が整形外科に届いている。

 

きっと軽傷に違いない。またすぐに走れる。今日はそれを確認するのだ。

三度目の診察を待ちきれず早めに起床し、受付開始時刻より少し早く整形外科に到着。

 

松葉杖には慣れつつあったが、家の中では松葉杖なしに歩くこともできている。今日の診察後、松葉杖は返却か、あるいは1本に減らしてもらうことも思い浮かべていた。

 

待つこと10分。三度目の対面となる医者に膝の様子を聞かれ、痛みも腫れも水も引いて徐々に動かしやすくなり、回復している感覚があることを伝える。

 

医者と自分の前にはMRIで撮影した画像が表示されている。まずは見方を説明してくれる。膝の皿の位置や、向き、骨や靱帯の映り方など。

 

その後、膝の外側を指し示し、白い骨の一部に黒い影が見える。

「これは骨挫傷で、圧迫骨折の一歩手前の状態でした」とのこと。


この1年ほど前に同僚が足首を骨挫傷し、地面に足を着けない状態から1、2か月ほどで回復したことを思い出す。

決して軽傷ではないが、膝外側を押されたときに強い痛みを感じたこととも符合し、原因がわかったこと、なにより自分の中で数か月で回復する見込みが立った安心感が強い。

 

安堵する中、膝の内部を側面から撮影した画像に切り替わる。

医者の指し示す膝の皿の内側には白く濁ったような箇所がある。

 

「前十字靭帯が断裂しています。」

 

言葉が出てこない。

左膝と見た目も変わらず、松葉杖からの卒業が考えられるほどの状態なのに、本当に断裂しているのか。

専門家から発せられた言葉と身体感覚が全く一致せず、思考停止に陥る。

焦点が合わず、ぼんやりと前方を見ているだけの状態。

 

骨挫傷が回復してから手術を検討すること。

松葉杖は当面使うこと。

この2点はわかった。松葉杖の卒業が叶わなかったことには何も感じない。

 

手術を行うか否かは、何に基づいて、どう検討するのか。

手術しない場合、どんなリスクがあるのか。

手術すればまたサッカーはできるのか。手術しなければサッカーはできないのか。

聞くべきことはたくさんあったが、思いついたのは家に帰ってからだった。

 

診察室を出ると、理学療法士と初回の理学療法の日程調整を行った。金曜11時に通院可能かを聞かれて、「はい、大丈夫です」と答える。

受付にて支払いを済ませた後、病院を後にする。

 

この日は開催中のサッカーW杯屈指の好カードであるスペインvsポルトガルが早朝4時から行われていた。

午前休を取っていたので、病院から帰ったら13時の始業までに観戦しようと早く整形外科に向かう動機の一つになっていた。

 

家に着いて、何も映っていないテレビの前でしばらく過ごした後、金曜11時には絶対に外せない重要な仕事があったことを思い出した。

初めてのMRI。

 

これまで通った整形外科とは異なる、外部のクリニックにてMRIを受ける。

自宅から電車で5分、駅から歩いて10分ほどの近い場所だが、平日であっても多数の人が行き交うであろう巨大ターミナル駅を松葉杖で移動する不安からタクシーで現地へ向かう。

 

整形外科ではMRIを受けることに関して入れ墨とペースメーカーの有無を聞かれた他には特に注意事項等も言い渡されることがなかったため、前日にMRIのクリニックに連絡して、注意事項や当日の服装を確認しておいた。

 

・事前の食事制限や行動制限はないか?

→膝のMRIなので特になし。(腹部などの場合は食事制限があるらしい)

 

・服装について何か制限はあるか?

→特になし。普段の格好で構わない。

 

クリニックに着くと、問診表を含む書類3枚に記入し、その後問診を受けて、検査技師(?)の方から注意事項の説明を受ける。金属製の物品は持ち込めないことの他、検査中は大きな音が生じるためヘッドホンをする旨の説明があった。

 

更衣室にて持ち物やベルト、サポーターをロッカーにしまう。眼鏡は検査室までかけてよいとのこと。

ロッカーのカギに取り付けられた札がやたら大きい。準備を万端整えて最後にロッカーのカギをポケットに入れて検査室に入ってしまうことを防止する目的なのだろう。

 

検査室に入り、眼鏡を外して所定のケースに入れた後、台に仰向けになる。

右膝の下にクッションを入れてわずかに曲がった状態で膝を固定する。

ヘッドホンを装着し、緊急時には強く握るようにとブザー(?)を渡されて、検査技師は部屋を出ていく。

 

足元にはMRI。この後に全身が吸い込まれていくと思うと僅かに不安を覚えたが、ヘッドホンからオルゴールバージョンのにんじゃりばんばんが流れてきて不安が霧消する。また、膝の検査であるため、全身ではなく、MRIに入ったのは足先から胸部までだった。

 

そこから、オルゴールの曲(にんじゃりばんばん以外にはポリリズムしかわからなかった)を聞きながら20分ほどで終了。

検査中の機械音は確かに大きく、ヘッドホンから流れるオルゴール音で太刀打ちできていないが、不快感を覚えることはなかった。

 

その後、支払いと検査結果の郵送先の整形外科名を確認して終了。早く検査結果が知りたい。

 

そしてヘッドホンから流す曲はどうやって決めているのだろうか。機械音に打ち勝つにはヘビメタの方がよいのでは。

受傷してから数日経つと、膨らんでいた右膝が左膝とほぼ見た目の変わらない状態に戻ってきた。家の中では左足重心で右足をかばいながらであれば歩くこともできる。

 

受傷当日から数日間に大きな不安を感じていたことの反動か、二度目の診察を前にすっかり軽傷と決めつけ、経過良好で1、2か月もすれば昼休みサッカーに復帰できると思うなどと同僚などに連絡していた。

 

受傷から5日後、二度目の診察。

改めて膝の曲がり方の確認し、脛を前後左右から負荷をかける、膝のいくつかの箇所を押すなど、最初の診察同様の触診が行われ、腫れや水も引いたことも確認された。相変わらず膝の外側を押されると強い痛みは感じるが、受傷当日ほどではない。

 

その後医者からは

「引き続きサポーターは着けて、松葉杖(2本)を使ってください。あと痛み止めも引き続き使いましょう。MRIはどうしますか?」

との話。

二つ返事でMRIを希望する旨を伝えた。

 

医者からの問い掛けを聞き、MRIがマストではなくオプションであるならば、右膝はやはり重症ではなかったとの思いを新たにする。しかし、事前にサッカー仲間から「MRIを撮ってみたら重傷が判明した経験があるので、撮った方がよい」との助言を得ていたため、MRIは撮るつもりで二度目の診察に臨んでいた。

 

この整形外科にはMRIの設備はないため、MRI検査を専門的に行う外部のクリニックにて検査を実施し、結果は約1週間後にこの整形外科へ郵送されるので、それをもって改めて診察するとのこと。(MRIは導入・維持コストが莫大であり、磁場を防ぐ専用室も必要であることから、町の整形外科には備えられていないことが珍しくないことをこの時知った。)

 

早くMRIで軽傷であることを確認するため、最短の日程(2日後)でMRIを予約する。そして、結果が届いて最も早く診察が受けられる日時を確認して、帰宅する。

 

初めてのMRI。

狭いとか音が大きくてうるさいという話を耳にしたことはあるが、閉所恐怖症はないし、特に痛みを伴うわけでもなく、狭い空間で寝ているだけなら心配無用。

この時はMRIがどんなものであるか、少し楽しみですらあった。