朝ドラの『カーネーション』が好きで初回から欠かさずに見ています。ファッションデザイナーのコシノ三姉妹を育てた母、小篠綾子さんがモデルになっています。
戦前・戦中・戦後と大混乱のなか、女手1つで店を盛り立て子どもを育て、自分が好きな「洋服づくり」に全力を傾ける。フィクションの味付けがあるにせよ、とても魅力的でこちらまでぐいぐい引っ張られるようなドラマです。
主人公である糸子が、子どもを見ながら先週つぶやいた言葉が心に残りました。
「おばちゃんら頑張って、もっともっとええ世の中にしちゃるさかい」
同じNHKで放送された『とんび』の舞台も戦後。主役の堤真一さんがインタビューで同じようなことを話していました。
http://www.nhk.or.jp/drama-blog/1310/104099.html
「僕たちの親世代は、子どもを育てて食わせていく、自分が食べることより子どもを食べさせる、だからイヤな仕事も頑張れる」
たぶんどちらの役も30代半ばで今の自分と同じくらいです。20代で結婚して子どもがいて、まず「食べさせて」いかないといけない。日本全国にいた同じような無数の「がむしゃらな勢い」が、世の中の空気や経済を動かしていたのではないでしょうか。
今でも子どもを持っている人の話を聞くと、子どもがいない自分よりもずっと覚悟をもって仕事をしているような気がします。ただ少子化で、昔より子持ちである人の割合が減っている。
ちょっと考えたのがこんな流れでした。
子どもがいると、国の将来や未来が気になる
子どもが良い状態で生きられるよう環境を整えたくなる
↓
子どもを持つ人が増えたら、そう考える人も増える
↓
でも今は子どもを持つ人が少ない
↓
結婚する人が少なくなったり
晩婚化で結婚後に子どもを持つタイミングが難しい
↓
経済的に働き続けないとしんどい
自分の将来に安心できないので結婚しづらい
↓
10年後、20年後も安定した生活ができるようなビジョンがない
↓
安定した働き方が少ない
この矢印を逆に辿れば景気がよくなるのでは…?
安定して働ける → 20年後も何だかいけそう → 家庭を持つか → 子どもが生まれた → 頑張って働こう → この先もちゃんと整えて次代に渡そう → 前向きなパワーが増加
昔は就職したら定年まで勤める前提があって、その前提のうえで結婚して子どもを持って、家を買って教育を施してきました。社会人になって「自分でもその生活をやっていけそうだな」と思う人が多かった。
「できそう」という気持ちだけで十分でした。
その「気」があるから将来を考えられました。
今はその「気」にもなれない人がたくさんいます。ちょっと先の生活を心配し続ける状態では将来どころではありません。自分で精一杯なのに家庭とか子どもとか言っていられない。
安定した働き方=正社員とは限りません。たとえば勤務を続けたい人は続けられる、動きたい人は自由に動ける、それを続けながら20年くらいは安定して生活できる、もっといえば「しばらくは安定して生活できそう」と思わせる仕組みがほしい。
やっぱり「収入」が大きな柱で、長く継続させるべきもの。一つの会社でずっと勤務でなくても、正規雇用がずっと継続でなくても、とにかく「長い間収入が途絶えない状態」であればいいわけです。
「既存のこの層にいる人にはお金を支給」とか「既存の低い方に合わせる」のではなくて、根本から仕組みが変わればいいなと思います。
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