大奥と出張に出ると、都会でしか見られない、ミニシアター系の映画を時々見る。
今回も、ふらっと入ったこの映画。

接吻
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id329547/


これが驚くような傑作。
台詞も芝居もカメラもしっかり作り込まれ、細かな心理描写が、映画ファンにはたまらない。
冒頭の緊張感が最後まで続き、高いテンションを保ったまま、驚くような結末へ。
小池栄子を始め、一人一人の演技も素晴らしい。

テレビで見た猟奇殺人者に恋してしまった、不思議ちゃんの話。
小池栄子がその不思議ちゃん役。
ある状況におかれるとおしゃべりになったり、
そのくせ人の話を聞いていなかったり、そういう人って確かにいる。
おまけにそういう女性にうっかり惚れてしまう、まじめな常識人も、たしかにいる。
非常にリアルだ。

衝撃のクライマックスは、本当に衝撃のクライマックスだ。
まぁ、予想できるとはいえ、そのスピード感と展開の妙は十分衝撃的。
そして「接吻」のカットがあって、いきなり終わり、はじめに出てくるテロップがタイトルの「接吻」。
計算され尽くして迎えるこのラストなので、監督はそこに大きな意味を込めているはずだ。

しかし、ここまで非常に分かりやすく作り込まれてきたのに、
この「接吻」だけが、どうにも意味が分からない。
これは、「え?何で接吻なの?」と考えさせることを、演出の意図としているためだろう。
とはいえ、このラストは消化不良にはならない。
そこに、本当の監督の手腕が有るのだと思う。

監督が考えさせたいこととは何か?
う~ん、まだ僕も十分解釈できないけど、
それを考える楽しみを与えてくれて、映画が終わって数日、まだその楽しみは続いている。


テンションの高さと心理描写は、黒沢清の名作ホラー「CURE」に匹敵すると思う。
「修羅の極道 蛇の道」なんかにも近いかも。
黒沢清ファンは、迷わず見るべし!

逆に「接吻」が好きなら、「CURE」「修羅の極道 蛇の道」「修羅の極道 蜘蛛の瞳」は見るべし!
日本には、こんなに素晴らしい作品がまだまだあるのだ。

そういえば「CURE」では、役所広司が東京国際映画祭主演男優賞受賞をとっている。
多くの方がブログに書いているように、本作で、小池栄子に主演女優賞を与える価値はあると思う。


一緒に見た大奥のレビューはこちら
http://ameblo.jp/kom-keroppa/entry-10107263008.html


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