地球に共通の敵ができたら(例えば凶暴で非友好的な宇宙人など)、人類は争いをやめて結束して協力し、ひいては平和になるんじゃないか。

と、充分大人になってからも割と本気で考えていました。

 

ですが、そうはならないみたいですね。

 

宇宙人の襲来のようなコロナウイルスの感染で表に現れてきたのは、国同士の封鎖から対立、アメリカや日本にもみられる自国内でのポピュリズムのオフィシャルな台頭。人種、宗教、あらゆるものがベースになる敵対と差別、と書いていて嫌になってきますが。

 

そんなの「ブレードランナー2049」でも描かれてたな。レプリカントと人間の間だけじゃなく、クラス、互いへの恐怖、貧富による分裂と搾取。

リセットされた未来になっても続くのか。

 

大好きな作品だと前置きますが、「2017」にあったような、人とレプリカントの間にあった関わり方と愛は「2049」には描かれていない。

そして世界の救世主/征服者は、新型レプリカントを製造する発明家になっている。

 

レプリカント創造者、マッド・サイエンティストのウォレスは盲目です。演じたジャレッド・レト氏は撮影前の顔合わせから撮影中の全てのシーンも目が見えない状態で演じたとのことですが、ボタンのようなものを脳にはめ込み、神経回路を操作して視覚を一時的に獲得するシーンがあります。

そのデバイスに座頭市へのオマージュであろう、”市”って文字があるのに気づいた方は挙手願います(笑)!

 

その役柄のような視覚をデバイスで補う体を持つ実在する人物が、ニール・ハービソン氏。

 

彼は生まれつきの色覚異常で白と黒、モノクロームの世界で生きてきましたが、21歳の時から頭蓋骨にアタッチしたアンテナデバイスによって色の周波数を感知するようになりました。

 

それによって受容した周波数と人間が識別可能な色の名前とを一致させていき、360色の色を感覚的に記憶できるように訓練したのです。

 

自らをサイボーグと呼んでいますが、パスポート証明写真に機械と一緒に写るのをイギリス政府に始めて許可されたケースだそう。

 

五感はそれぞれが受け取る器官が決まっていますが、誰かの名前を聴くとチョコレートの匂いを受け取るといった知覚が混同する特殊な例があって、私はそれを異常というよりはギフトのようだと思うのですが、ニール・ハービソン氏も人工的ではあるけれどその類まれな機会に恵まれた人であると思います。

 

でもその感覚を他の人とシェアできない孤独も感じると、他のインタビュー記事で読みました。

そこでは、人間の肌の色に関しても話しています。


人間の肌の色はさまざまで、言わずもがなそれによって長い間争いを繰り返しているのですが、肌の色相は同じで黒でも白でもない、と彼は言います。

 

彼のみる(聴いている)人間は全てオレンジ色なのです。

人間は全てオレンジ色。そして赤は最も平和で純粋な色なのですって。

 

TEDトークでは電子アイを装着するまでの過程と、色の名前をシンクロさせるまで、驚きの色相トーンと平和のためのサイボーグ化の勧めなど、楽しいトークを展開しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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