さまざまな分野からの幅広い年齢のスピーカーたちが、興味深いレクチャーを公開しているTED。脳卒中の発作を経験し、8年間の闘病から回復した神経解剖学者、ジル・ボルト・テイラー氏の講演です。

左脳で起こった脳内出血により、言語中枢機能を失っていく過程で彼女が右脳で見た世界は、まさにニルヴァーナ(涅槃)。仏教哲学の悟りの境地に至ったかのようなものでした。

統合失調症という脳障害を持つ兄のため、脳の研究をするようになったジル・ボルト・テイラー氏は、左脳の血管が破裂して病院に運ばれるまでの4時間の間に、自分の脳が情報処理能力を失っていくのを経験し、それをしっかり観察しています。

かなり深刻な状況を、ユーモアを交えて語ってゆく彼女のスピーチの内容は、左脳の損傷により言語処理能力を失い、右脳に支配された場合の脳の状態なのです。



右脳にとっては"現在"が全て、この場所 この瞬間"が全てである。
右脳は 映像で考え、自分の体の動きから運動感覚で学ぶ。
右脳の意識を通して見ると、私という存在は自分を取り巻くすべてのエネルギーとつながっている。

情報はエネルギーの形をとり、あらゆる感覚システムから同時に一気に流れ込み、巨大なコラージュになって現れる。

左脳にとっては 過去と未来が全て。 左脳は 現在の瞬間を表す巨大なコラージュから詳細を拾い出し、その詳細の中からさらに詳細についての詳細を拾い出すようにできていて、それらを分類して情報を整理し、これまで覚えてきた過去の全てと結びつけて、将来の全ての可能性へと投影する。

そして左脳は言語で考え、継続的な脳のしゃべり声が内面の世界と外の世界とを繋いでいる。



ジル・ボルト・テイラー氏はその全てのエネルギーが一体となった感覚を感じた、美しく平和で思いやりに満ちた世界を"ララ・ランド"と呼んでいますが、意図して左脳から右脳へと歩み寄ることによって、この平安を見出すことができるのだと言います。そしてそれを生きているわたしたちに広く伝えることが、どれほど強い洞察を与え得るかに気づき、それが彼女の回復の力となったのだそうです。

彼女はこのスピーチの内容を、詳しく書いて出版しているようです。脳科学としても、仏教哲学、そしてヨーガの文献としても読めそうな本ですね。








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