彼は歯科医師でした。
歯科医師として
手の器用さを失う事を怖れた彼は、
生検を拒み、
心から信頼出来る先生に
出会う事がなかったからか、
確定診断をすることも
治療受ける事も全て拒否をし、
代替医療のみだけで
治療を受ける決断をしました。
確定診断をしていないので、
実際の病気がなんだったのかは
確かではありませんが、
一度入院した病院では
「悪性リンパ腫の疑い」があると
言われていました。
代替治療しか受けていない彼は
段々と動けなくなり、
食事も取れなくなり、
一人で歩く事すらも
出来なくなっていきました。
それでも、
病院での治療を拒み、
入院を拒む彼を私は説得出来ず、
彼の実家の家族も
彼を説得して入院や治療を
受けさせる事が出来ませんでした。
日に日に
容態の悪くなっていく彼を
どうする事も出来ず、
自宅でただ見守り、
苦しんでいるのを
彼の要求通りのことしか叶えてあげられない
自分の無力さを感じながら、
心のどこかで
このまま回復することはないのでは…と
感じていた私は、
彼の命がいつ消えてしまうのだろう
という恐怖を抱えながら、
毎日を過ごしていました。
私の力ではどうすることも出来なくなり、
必死で彼を説得して入院させたその日に
彼は息を引き取りました。
彼が拒否していても、
無理にでも入院させるべきか
彼の意思を尊重すべきか、
本当に毎日毎日葛藤していました。
拒否する彼を無理して入院させて
治らなかった時は、
こんな事なら本人の意思を尊重すべきだったと
私は後悔するだろう。
そんな想いもあり最終的に私は、
彼の意思を尊重する事を選びました。
そうする事で、
自分自身を納得させようと思ったのです。
私の選択は本当に正しかったのだろうか。
無理にでも入院させ、治療をすれば
もしかしたら助かったのではないのだろうか。
過去は取り戻せないし、
その時その時で最善を尽くした気持ちで
決断してきたはずだけど、
それでも、
12年間今までずっと、
心の奥底では
自責の念を抱いていたのかもしれません。
先日の植物観察で
たくさんの松の樹木が目に入ってきました。
バッチフラワーレメディでは
パイン(西洋あかまつ)は【許し】
《自分を許し、過去を手放しましょう》
と、
出会った松の木々から
私へのメッセージをもらった気がしました。