関心領域(2023・米英波・105分)

監督:ジョナサン・クレイザー

主演:クリスティアン・フリーデル

 

★第96回米国アカデミー賞 

 国際長編映画賞・音響賞受賞

★第76回カンヌ国際映画祭

 パルムドール受賞

 

アウシュビッツ強制収容所の隣で

平和に暮らす一家の日常を描く

 

ファーストデーのせいでしょうか?

主な映画賞を受賞している前評判からか

映画館は満員でした。

 

タイトルやポスター・チラシでは

イマイチ内容が分かり辛い。

分かったとしても舞台はアウシュビッツ。

期待半分、不安半分で観に行きました。

 

アカデミー賞で音響賞も

受賞しているだけあって「音」が印象的です。

煙突から出る煙、響き渡る銃声

収容者を恫喝、罵倒する声

五感を刺激され「見えないもの」の

恐怖や不快感に支配されます。

 

あの環境で普通の精神状態では

暮らせないと思いますが

家族それぞれが病んでいたと思います。

戦争は最前線で戦っている兵士はもちろん

関係者の精神も生活も壊していきます。

 

戦闘シーンも残虐なシーンもない。

静かに戦争の悲惨さを見せられます。

ヨーロッパ映画によくありがちな

現実を提示し後は皆さん考えて的な

終わり方は、やや消化不良というか

「だから」と不満を持つ人もいるでしょう。

 

ただ、先ほど書いたように

直接的な映像表現より

山積みにされた靴からの視覚

煙から想像される嗅覚

銃声や悲鳴の聴覚など

五感を刺激される映画であり

その挑戦的、画期的な表現が

評価された作品だと思います。