青春18×2君へと続く道（2024・日台・123分）
原作：ジミー・ライ
監督・脚本：藤井道人
主演：シュー・グァンファン、清原果耶
日本人バックパーカーの女性と
大学進学前の18歳の青年の淡い恋。
突然の別れから18年後
青年は彼女との思い出と
自らの歩みを振り返る旅に出る。
ラブストーリーであり
ロードムービーでもあり
青春との決別の物語でもあります。
劇中でも引用された岩井俊二監督の
映画「Love Letter」
あの切なく甘い初恋の思い出。
まさにこの映画にも
岩井イズムのような美しさが流れています。
懐かしい有名なセリフとシーンの再現も有り
岩井監督ファンには、たまらん演出です。
私はイメージだけでいえば令和版
藤井流Love Letterだと思いました。
岩井俊二監督の「Love Letter」も
この際、もう一回観てみよう。
風景が美しいです。
ご当地紹介映画っぽい映像はなくて
台湾の夜市もランタン飛ばしも日本の桜も
映画の世界観を壊さないように必要最低限に
描かれていて私は好感を持ちました。
日本人の郷愁を誘うようなノスタルジックな
地方ローカル線の列車や大地一面を覆う雪。
私はアニメの聖地巡礼は、しないタイプですが
この映画のロケ地巡りは
いつかしてみたいなと思いました。
もし、同じ感想を持たれたら
パンフレット購入は必須です。
日本と台湾のロケ地マップが載っています。
私は将来パンフをもって各地を回りたいです。
ストーリーは単なるボーイミーツガールに
なりかねないのが
ここまで抒情的でロマンチックな物語になったのは
監督の確かな演出力と主演2人の好演によるものです。
台湾の青年ジミーを演じた
シュー・グァンファンさんは好青年で
もし私に娘がいたら彼に
嫁がせたいくらいのナイスガイ。
清原果耶さん演ずるアミは
笑顔がまぶしく、また愁いを秘めた表情は
胸が締め付けられるほど切ない。
2人には、いわゆるラブシーンはないのに
キュン
どころかド直球で心に響きましたね。
ラブストーリーの十八番は韓国だけじゃない。
アジアを舞台に素敵なラブストーリーが誕生
と、言っても過言ではないと思います。
主演2人の脇を固める俳優陣も
ドンピシャのキャスティングで良かったです。
日本人バックパッカーの青年役
道枝駿佑さん。
映画のアクセントとして重要な役どころながら
はしゃぎすぎず自然体で良かったですね。
また旧ジャニ俳優部の若手有望株を見つけました。
ネットカフェの店員役・黒木華さん。
いつも、どんな役も器用にこなすけど
私、最初どこかで見たけど誰だっけ？と
迷うほどの一般人ぽい存在感に驚きました。
村人・松重豊さんのたたたずまい。
いいですね。
この人が、いるだけで作品に安定感をもたらされます。
アミの母親役・黒木瞳さんの納得感。
これらのキャスティングの成功が
映画の完成度を上げているとも思いました。
台湾でもミスチルは人気があるようですね。
主人公2人がミスチルを聴くシーンがあるのですが
あれ？ミスチルの曲は？と思っていたら
あぁ、ここで・・・
粋な演出に涙が出ました。
美しい風景と2人のピュアな想いに
目も心も幸福感に満たされます。