【映画】天上の花 | 野球と映画、ときどき…

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天上の花(2022・日・125分)

原作:萩原葉子(天上の花~三好達治抄)

監督:片嶋 一貴

出演:東出 昌大、入山 法子、吹越 満他

 

萩原朔太郎に師事する書生・三好達治。

彼が朔太郎の末妹・慶子に

一目ぼれしてから16年4か月。

慶子が未亡人となると

妻子を捨ててまで彼女とともに

生きることを願う。

しかし2人の生活は長く続かず

三好達治は精神的にも追い詰められてゆく。

 

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ

 

三好達治の代表的な詩『雪』です。

私は小学生の時、国語の教科書で知りました。

きっと雪深い地域で生まれた

幻想駅な詩と思っていましたら

三好達治は大阪市出身だそうです。

 

すぐに手を挙げる達治ですが

原作や映画で描かれた彼の姿が

真実かどうかはわかりません。

やや事実を誇張したり

フィクションの部分もあるでしょう。

 

しかし、アーティスト、表現者としての

彼の苦悩は痛いほど伝わってきました。

時代のせいでもあるのですが

妻子との生活を支えるため

戦争詩を書き日本を応援していたこと

若い時の実らなかった初恋に

無力感を感じていたこと。

人気詩人になり朔太郎も亡くなった時

自分自身を制御できなかったのでしょう。

そのあたりの塩梅を脚本に

荒井晴彦さんが入ってリアルに描いています。

 

達治の慶子への思いは純粋な愛情といいますが

あれは明らかに「執着」です。

慶子は主体性のないワガママ女で

彼女が求めていたのは「安定した生活」や

「自分の欲求が満たされること」です。

最初から2人の生活がうまくいくとは

決して思えませんでした。

例えば、野球ファン的に言わせてもらうと

ジャイアンツにあこがれ続け

西武からFAで移籍した清原選手みたい。

どうしても初恋が忘れられなかったんですね。

 

東出昌大さんの昭和初期やら大正という

クラシカルな時代をまとった存在感は圧倒的。

吹越満さんの文学者の香りは絶品。

漫画家・浦沢直樹さんの佐藤春夫役も貴重。

配役も良かったと思います。

 

映画では達治の慶子との出会いから

2人の生活の破綻までを描いていますが

戦後、彼がどのような人生を歩んだのか

それは自分で調べるしかないようです。

 

達治のご親戚(甥)が高槻市の寺で

住職をされているそうです。

高槻のお寺には三好達治記念館も

併設されているそうです。

彼の詩集をもう一度読みなおし

せっかく大阪に住んでいるのだから

記念館も尋ねてみたいと思いました。