【映画】福田村事件 | 野球と映画、ときどき…

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福田村事件(2023・日・137分)

監督:森 達也

脚本:佐伯 俊道、井上 淳一、荒井 晴彦

出演:井浦 新、田中 麗奈、永山 瑛太、東出 昌大他

 

1923年9月1日 関東大震災の5日後

9月6日 千葉県福田村で歴史的大虐殺が起きる

しかしその事実は歴史の闇に葬られた。

 

関東大震災から100年

このタイミングで上映されたのは奇跡です。

森達也監督は「A2」や「FAKE」等

社会派ドキュメンタリー映画の名匠です。

その森達也監督初劇映画は

実際にあった事件に

着想を得た作品になりました。

 

役者の本気が伝わってきました。

クライマックスの永山瑛太さんのド迫力。

「鮮人(朝鮮人)やったら殺してもいいんか!」

もちろん劇中の相手に向かってのセリフですが

スクリーンから真っすぐ観客に刺さります。

私も「えっ!」と思わず小さく叫んでしまいました。

殺していい民族、殺されていい民族なんてないですものね。

 

永山瑛太さんは「怪物」でも

ナチュラルかつ真摯な演技が

素晴らしかったですね。

若き親方役は貫禄がありカッコ良かったです。

井浦新さんの静かな佇まいに秘めた怒りが秀逸。

悩める善人役も違和感がない確かな演技力。

田中麗奈さんもお嬢様の憂鬱を見事に演じました。

東出昌大さんは、根はいい人なんでしょうが

女性にだらしない役柄が

皮肉なことにプライベートにリンクして

覚悟をもって演じられたことが良かったですね。

柄本明さん、コムアイさん、豊原功補さん

水道橋博士さん、皆さん味のある演技で

まさにハマリ役といった印象です。

 

虐殺シーンは韓国ドラマみたいな

リアルだったらどうしようと

不安でしたが、そこはご安心を。

惨劇は突然起こりビックリしますけど

スプラッタムービーのような

血しぶきは出ませんから

心臓の弱い人も映像に耐えられると思います。

 

なぜ、惨劇は起きたのか

果たしてそれは遠い過去の話なのか?

善良な村人が嘘や思い込みから

興奮して殺人まで発展する集団心理は

現在でもあり得るんじゃないか。

映画は歴史の形を借りて

現代を生きる私たちに問いかけます。

 

私は公開2日目に鑑賞しましたが

映画館は立ち見も出るほどの大盛況でした。

部落問題、朝鮮人差別問題などは

テレビではスポンサーもつきにくく

タブーで映像化されにくいと思います。

だからこそ映画という媒体でしか

描けないテーマだと思います。

 

劇映画ですのでね

フィクションの部分も多いでしょうし

あえてドラマチックな展開に

した部分もあるでしょう。

しかし、この映画を観たことをきっかけに

これが事実だ、真実だと簡単に決めつけず

いや嘘だ、作り話だと安易に否定もせず

書物などで知識を増やし確認し

あらためて自分自身で考えたいと思いました。