【本】最近読んだ3冊~朝井まかてさんと閻連科さん | 野球と映画、ときどき…

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ただ、映画鑑賞は私のライフワーク

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好奇心のおもむくまま「おきらく」に

生活を楽しむをモットーにしています

「円卓」の時もちょっとちょっと書きましたが

今、西加奈子さんと朝井まかてさんの小説にハマっています。

朝井まかてさんは時代小説ですが

毎週、聞いている杏ちゃんのブックバーという

ラジオ番組でも度々紹介されていてます。

「福袋」という先月、番組で紹介された本を

図書館で予約していて

その前に手に取った

「向嶋なずな屋繁盛記 花競べ」

に、もう心も頭も持っていかれて

今じゃ中毒のように毎日

朝井まかてさんの小説をなにがしか読んでます。

 

自分の備忘録のつもりで少し感想を書いておきます。

興味を持っていただけたら読んで欲しい作品ばかりです。

 

★向嶋なずな屋繁盛記 花競ベ(朝井まかて・講談社文庫・648円)

連なる4つの短編に後日談の終章がついてます。

第3章の「実さえ花さえ、その葉さえ」が1番良かったですね。

作者が江戸のガーデニングに造詣が深かったことから

江戸中期の花師・「なずな屋」新次の悲恋も交えて

江戸庶民の暮らしが生き生きと目に浮かびます。

新次は、かつてともに修行した理世と再会します。

しかし、新次には恋女房が理世には離縁したい夫がいます。

 

「こうして思いを遂げた。これでようやく俺たちは終われる」

新次が分かったと同時に理世も言います。

「案ずるな。後生大事にこの恋を抱えて生きていくなどするものか。」

「実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい」

 

カッコいいおねがい粋だな・・・不倫がどうのこうの、どうだっていい。

こういう忘れられない恋の一つや二つ

大人なら誰もが持ってるかもしれません。

 

私は新次を市原隼人さん、理世を宮崎あおいさんにして

脳内でドラマ化しました。

ちなみに雀は鈴木福君、花魁の吉野太夫を北川景子さんで

キャスティングしました。

 

★福袋(朝井まかて・講談社・1600円税別)

これは全く別の設定の8つの物語の短編集です。

私が好きな話は「福袋」と「ひってん」

福袋は大食いの出戻り姉を

各地の大食い大会に出場させて

楽して金を稼ごうとするアホな弟の話です。

しかし、姉はある旗本の毒見係という職を見つけ

自立していきます。気が付けば店も傾き

嫁と妾も愛想をつかし、という哀れだけど面白い話です。

「ひってん」は貧乏長屋から抜け出し

商売人として成功した男の話なんですが

ちょっと最後ほろっとします。

どちらかと言うと「ひってん」の方が

山本周五郎ぽくてドラマ化には向いていそうです。

主人公にはこの間見た

「ちょっとまて野球部」の須賀健太君が

ピッタリかな、なんて想像しながら読みました。

 

★年月日(閻連科・谷川毅訳・白水社・1700円税別)

閻連科(えんれんか)さんは中国の作家です。

村上春樹さん以来アジアから2人目の

フランツ・カフカ賞を受賞しています。

出版される本は、ほとんどが発禁処分を受けていますが

台湾はじめ世界各国では様々な言語に翻訳されています。

これも杏ちゃんのラジオ番組ブックバーで

取り上げられていた本で予約で1か月以上待ちました。

 

これは映画化、ドラマ化は決してできません。

大日照りの続く村でたった1本のトウモロコシの苗を守る

72歳の先じいと盲目の犬(メナシ)のサバイバルです。

神話や寓話のようなスタイルですが内容が生生しいです。

私のように脳内でビジュアル化しながら

本を読み進めていくと

鼠や蛆虫という文字を見た途端

吐き気がしてめまいしそうでした。

それくらいリアルと言うか

生き抜くことの凄まじさが迫ってくる

閻連科さんでしか書けない世界を見せられました。

ただただ「凄い」という言葉しか出てきません。

 

中国では第二回魯迅文学賞をはじめ

様々な文学賞を受賞していますが

なんとこの本、フランスでは学生のための

推薦図書に選定されたそうです。

これ、若い人はどう読むのだろう?

奉仕の精神か、生きる意味を問うのか?

これは愛犬家の方には涙失くして読めない名作です。

読み終えた後、しばらく動けないですよ。

感動で心を捉えられます。

 

閻連科さんは時間があるときに読んでくださいね。

ただ、朝井まかてさんの本は短編集なので

毎日少しずつ(一編ごと)読んで行けるので

通学・出勤のお供などにお勧めです。