【本】円卓 | 野球と映画、ときどき…

野球と映画、ときどき…

野球中心にスポーツ観戦が大好きです

ただ、映画鑑賞は私のライフワーク

吹奏楽、美術鑑賞、舞台鑑賞そして猫

好奇心のおもむくまま「おきらく」に

生活を楽しむをモットーにしています

円卓(西加奈子・文春文庫)

 
大阪の公団住宅で三つ子の姉と両親
祖父母の8人で暮らす「こっこ」こと渦原琴子。
こっこは口が悪く、偏屈な小学三年生。
新しく獲得した言葉や疑問、不満を
ジャポニカ学習帳(自由帳)に書くのが日課である。
夏休みのある日、親友ぽっさんが帰省で不在の中
鼠人間(変質者)に出会った、こっこはピンチに襲われる。
 
芦田愛菜ちゃん主演で行定監督が映画化しました。
 
映画のレビューは後ほど書きます。
 
映画と原作の違いは三つ子の姉の朋美の所属する
手芸部の玉坂部長が映画に出ていないことですかね。
原作では玉坂部長を次のように表現しています。
 
割烹着に不死鳥、晴雨兼用傘に十一面観音像など
刺繍の腕前が見事。
「姑」というあだ名をつけられている。
技術、貫禄。どれをとっても部長という称号がふさわしい。
 
玉坂部長は中学三年生です。
こんな中3います?爆  笑
 
刺繍という名のアート。
こっこ姉妹の布団にも朋美がさした刺繍
風神雷神、鶴亀、龍虎。(渋い)
精巧で美しい見事な刺繍が
映画では実際に見ることができます。
 
ただ、おばあちゃんが朋美に
「もっと、かいらしい子猫が毛糸とじゃれてるとこ
 とか刺繍できひんのか?」
と、いう場面は可笑しくて大笑いしました笑い泣き
いしだあゆみさんのセリフで聞きたかったですね。
 
また、玉坂部長は手芸部が料理部と合併して
家庭科部にしようとする動きに対し
「火使うのんと、針使うのんと一緒にしてもろたら困りますわ!」
と、毅然として合併を拒否します。
カッコいい!やはり、こんな中3います?笑い泣き
 
玉坂部長は部活だから楽しくお喋りしながらの刺繍を嫌います。
「針扱っとるということを念頭に置いとけ。死ぬぞ。」
と、部員に一喝します。
部員もなんでそこまで怖い部に所属しているのか?
恐るべし「刺繍」の魅力。
私、図書館で「刺繍」の本を見て驚きました。
精巧な刺繍は、まさに刺す芸術、美術作品です。
 
私は原作の玉坂部長のキャラが大好きで
映画でも期待していたけど
時間的にも人物的にも彼女を出すのは
難しかったでしょうね。
 
原作でも興奮したクライマックス
幹さんが教室の窓からまき散らした
多くの小さな紙屑。
雪のように空を舞う紙屑。
子供っていなぁ。
素敵なフィナーレを映像は十分堪能できます。
 
この作品は「かつて子供だった」大人たちに
向けれたメッセージだと思います。
思い起こせば自分もそうだった
そういえば自分の子供だってそうだっただろう
懐かしさと恥ずかしさと寂しさが襲ってきます。
 
さすが西加奈子さん。
久々に永久保存ものとして
私の本棚に収まった名作です。