男道 清原和博 | 野球と映画、ときどき…

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好奇心のおもむくまま「おきらく」に

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男道 清原和博著 幻冬舎刊 1400+税円



しんどい時に何も考えず楽に読める本ってない?


と、ある読書好きの友人(女性)に聞いたら


「理屈、理論抜きに女性週刊誌並みに感情論で読める」


と、紹介してもらった本です。


その表現は必ずしも合っているわけではありません。


ただ、関係者への最低限の配慮はなされているけれど


許されるギリギリまで本音で語っているという点では同感です。




この本は幼い日の思い出から運命のドラフト


ジャイアンツへのFA移籍、オリックスを経ての引退まで


清原選手の野球人生を振り返った自叙伝です。


タイトルと内容が、ややかい離しているような・・・


あえて釈明すると前書きで語っていた


故・仰木監督さんの言葉を少し変えて使ったってところですか?


確かに表紙のあの強面の表情と


あいまって女性は手に取りにくい本ですね。


でも、ゴシップ好きの奥さんキスマーク


アンチジャイアンツのタイガース阪神タイガースファンには


たまらん面白さです。




ともすれば暴露本や裏話的な下品なジャンルに入るものが


清原選手の素直な語り口から野球の魅力や


両親はじめリトルリーグ、シニアの監督や関係者すべてへの感謝が


感じられて現役高校球児母の私としては


「両親へ感謝の手紙」のように読み取れました。




この母にして、この子あり。


失礼ながら清原選手のお母様のエピソードが面白かったです。


天理高校で甲子園を目指すんだと清原選手を洗脳し


先にお母様が天理教に入信。


PL学園受験が決まった途端、PL教に入信するため天理教を脱退。


そんな、勝手な事情で簡単に宗教って出たり入ったりできるもんでしょうか?


そのあたりの爆笑(珍)エピソードは本で読んでいただきたいですね。




また清原選手は想像通り幼少時からやんちゃな子供だったようで


ある日、お母様が学校の先生に


「和博は何時間くらい集中して授業を聞いていますか?」


質問したそうです。


「せいぜい最初の15分から20分・・・」


という先生の答えに


15分も集中していられるなら上出来や!と、お母様は思われたそうです。


ね!いいキャラのお母様でしょ。




清原選手のご両親は野球のことなどほとんど何も知らなかったそうです。


それでも当時の清原選手にどういう準備が必要なのかを知っていたといいます。


シニアを引退してからPL学園に入学するまで


お母様と一緒に毎日近所を20キロのランニングをしたそうです。


中学生の足腰では高校野球部の練習についていけないだろうと


お母様は自転車自転車で清原選手に毎晩併走していたんですって。




お父様は電気工事の自営業で忙しく


お母様も事業のお手伝いや家事、祖父母の世話で忙しかったそうです。


でも清原選手は「両親は僕と一緒に野球をしていたのだ」といいます。


清原先生の親御さんへの思いを一部本書から抜粋します。




夕ご飯を食べる息子の表情を見るだけで両親には充分過ぎるほどなのだ。


膝小僧の傷ひとつ、こぼした涙の一滴で、その日何があったかを知る。


そして僕の喜びを、僕の辛さや悔しさを、一緒になって経験していたのだ。


(中略)


一緒に球ひろいをし、素振りをし、ホームランを打っていたのだ。


そしていつも目を皿のようにして、僕の前にある危険や落とし穴を探していたのだ。



清原選手も親に、なられたからですかね。


子を想う親の気持ちがひしひし伝わってきますね。




自分自身よりも自分を愛してくれる人がいることを知り


その思いに報いようとしたとき


人は本当の力を発揮するのだと僕は思っている。



この確信、親への絶対的信頼と愛情が人生のベースだと私は思います。




昨日テレビ「さんまの夢かなえたろか」でレスリング少年が


アメリカで活躍する片足のレスリング選手・アンソニー選手と対面しました。


なぜ片足で頑張れたのかという


少年の素直である意味、残酷な質問にアンソニー選手は


女手一つで朝晩も働き自分の夢を応援してくれたお母さんの話をし


自分を支えて応援してくれる人の為に頑張れたという言葉を少年に与えます。


後日談で少年が2階級上の困難な大会で見事優勝


お母さんとお父さんに「ありがとう」と恥ずかしそうに抱きつきました。


小学生の彼にご両親の本当の気持ちや


愛情の深さが完全に理解できているとは思えません。


でも、自分一人の為に戦う(プレーする)のではない


ということは理解できたのかな。




私は清原選手から


ご両親へのラブレター、感謝状だ


と思ってこの本を読みました。


きっと多くの女性にも手に取って頂ける本だと思います。


でも、この本を紹介してくれた私の友人は野球ファンでもないけど


なんでこの本を読んだんだろう?


彼女の本を選ぶ嗅覚やセンスには昔から一目置いていたけど


野球ファンの私にさりげなくこの本を勧めてくれて本当に感謝です。