自分だけの野球の教科書 | 野球と映画、ときどき…

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野球ノートに書いた甲子園 高校野球ドットコム編 KKベストセラーズ 1050円


現在、野球関連本の中で密かなベストセラーになっています。


読んで納得。


ぜひ高校球児達に読んでもらいたい一冊です。



高校野球ドットコムは


各地方大会の試合結果から


全国の野球部を訪問して紹介するなど


高校球児を応援するサイトとして


多くの野球ファンから支持されています。


私もお気に入りに入れて週に一回は必ずチェックします。


その高校野球ドットコム編集部が


取材の中で出会った様々な野球ノート。


この本の中では6校の野球部の中から


それぞれの個性あふれる野球ノートと


その背景にある各野球部の取り組みを紹介しています。




どの学校のエピソードも感動もので全部を紹介したいけど


それは完全な営業妨害ですわね。


ですので、ここでは私が一番感動したエピソードのみを紹介します。




自分だけの「野球の教科書」日本文理高校野球部


書くことで頭に刷り込んでいく


奇跡の試合を作った自主ノート




2009年、夏の甲子園決勝戦。


堂林翔太選手擁する中京大中京に


9回2アウトから6点差を追い上げ


優勝まであと一歩まで迫った


新潟県代表・日本文理高校。




その時2年、2番ショートの高橋準之介選手。


現在は明治大学野球部で活躍中です。


彼の野球ノートに対する姿勢、思いが語られています。


高橋選手は野球ノートを「自分だけの野球の教科書」と呼びます。


「野球にルールブックはありますけど教科書はないと思うんです」


確かにそうですね。


「選手は一人ひとり、体の特徴や技術


メンタルも違うわけですから、プレースタイルも変わってくる


と、いうことは全員にとって正解だと言えるような


投げ方や打ち方というものは存在しない。


でも自分のこれまでの投げ方やスイングをつづっておけば


それは自分にとっての野球の教科書になると思うんです。」


なるほどね。体にしみこんで覚えた理論でしょうね。


あとは本で直に高橋選手の文章から


キャプテンシーというかリーダーシップを


読みとり感心してください。


こういう高い目的意識があればこそ


甲子園の決勝戦という大一番で


奇跡を起こせたのだなと理解できます。


ただ高橋選手が3年主将として率いたチームは


残念ながら甲子園に行けませんでした。


その新チームへ移行した時の苦悩や


ポジションもショートからキャッチャーへ


コンバートされた時の挑戦も


赤裸々に野球ノートにつづられていて


現役高校球児の心情に


ジャストミートするんじゃないでしょうか。




ただ書くだけ、提出するだけの野球ノートではなく


それがいかに自分の知恵としてさらには野球の教科書となって


試合で最高のパフォーマンスを生み出すことができるか。


そこには主体的に野球ノート作成に取り組み


球児として人間として成長した一人の若者の姿がありました。




この高橋選手の各選手の違いを受け入れる姿勢は


最終章の福井県・春江工業高校


川村忠義監督の理論にもつながります。




強豪私学は野球のレベルが高いトップ選手が集まる。


しかし公立高校にはちょっといいかもと思う選手から


はっきり言って全然ダメな選手まで選手間にレベルにかなりの差がある。


だから一つの技術論なり理論で全体に指導してもすべてが崩れる。


レベルや選手の特徴によって合う合わないがある。




最終章は選手の野球ノートではなく監督のノートです。


これも新しい視線で指導者がどう野球ノートを生かし


自らの野球ノートをどんな思いで綴ってきたかが語られます。


ですから冒頭で是非


高校球児に読んで欲しいと書きましたが


野球指導者や野球少年の保護者など


大人が読んでも十分に読みごたえはあります。




文章の合間に写真が多用してあって


お世辞にも綺麗な字とはいえなくとも


そこには球児の熱い思いが読み取れます。


実際のノートそのものをビジュアルとして見ることで


よりリアルに感動が迫ってきます。


できれば本屋さんで、この本を一度手に取って


パラパラとページをめくってください。


そこで相性が合えば、ぜひとも一読してください。




感動ポイントは、それぞれ読む人で違ってくると思いますが


最後はやっぱり高校野球っていいなぁって心から思えます。


自信を持って、おすすめできる一冊です。




あぁ私、男に生まれたかったなぁ。


高校球児になりたかった。


甲子園を目指したかった。