海を見たくなると、茨城県の大洗に来ることがある。
思いつくと、週末までソワソワしちゃう。
お昼はこけら屋食堂がいいな。おじさん、店内に入ると睨んで来るけど、Googleのレビューだと、他のお客さんにも同じ態度だし、もし営業してたら、飛び込んでしまおう。
私の旅は、食べ物と温泉が目当てなことが多く、食べ物は外せない。チェーン店にはチェーン店の良さがあるけど、個人店はそこしか出会えない良さがあるもの。
こけら屋食堂は、夫の勘で見つけたお店。
無愛想な感じだけど、お刺身定食は臭み無いあら汁と共に最高。フライ頼んでも、副菜の煮付けも共にすごく美味しい。
この日に入ったら、お頭付きのほうぼうのお刺身定食もあったけど、多分夫と長男が頼むだろうから、私は他のお客さんが食べてたフライが気になる。よし、フライにしよう。
この日は大当たり!!!
おじさんウェットティッシュまで提供してくれた。おばさんに、「今日営業しててくれて、ラッキーでした。」と、伝えたら、フフッと笑う笑顔が柔らかくて、心惹かれる。
来て良かった。
那珂湊のこけら屋食堂で海の幸をいだひただいて、港を歩いて牡蠣食べて、お腹をいっぱいにして、大洗に移動。
めんたいパークに着くと夫は必ず、めんたいソフトを食べて、お土産買う。
イカ耳のめんたい和えは今回は無くて残念。
そしてまた車走らせて、近くのショッピングモールへ移動。
テナントも人も閑散としてる、大洗ショッピングモールが実は好き。
サザコーヒーに着く頃には、子供達は痺れを切らして、海が待ちきれなくなっている。
サザコーヒーでカフェタイムを楽しめるのはまだまだ先なんだろうなーと思いながら、大人は将軍カフェラテをテイクアウトして、海岸に向かう。
車を降りると、子供達は海岸へと足早に歩き始める。というか、もう走ってる。
いつもは早く歩きなさいと、言われている次男が、もう遠くを走ってる。
今は茣蓙って言わないんだよね、レジャーシートね。
おばあちゃん子と言われた私は、防災頭巾も、防空頭巾と呼んで、子供がキョトンとしたり、障がい者のことも、昔の言葉で呼んでしまって、顰蹙を買ったことのある女だ。
大正生まれの祖母が使っていた言葉が時々、今も出てくることがある。
とにかくレジャーシート持って、私も海へと急ぐ。
何回来ても、景色が広くてここはワクワクする。
2月の海。
前回は11月でまだ足が浸かる程度なら海には入れた。足の付け根まで浸かるほど、沖へと進む長男を半ば怒鳴りながら、呼び止めつつ、海岸線をひたすら歩き続ける次男を追いかけてた。
子供の動線が縦と横に離れて行くので、きつい。
2月は極寒である。
それでも海に入るという長男を止めなくてはならない。長男がそれでも入りたいと言い張るので、足首までならよしとして、レジャーシートに荷物置いて、靴と靴下を脱いでもらうことにした。
海も空も本当にキレイで、同じ青の色合いの違う美しさを、壮大に魅せてくれる。
吹き付ける風が、寄せては返す波と共に、自分の中の、モヤモヤした湧き起こる何かを消しとばしてくれてる気がする。
次男は今回は貝拾いに終始して、キレイな貝殻を拾っては私に貝を見せてくれる。
夫は長男を見守っている。
私はレジャーシートの上の重石となって、温くなりつつあるカフェラテをいただく。
うーん、冬の終わり?春の初め?
この季節の海もいいなあ。
おばあちゃん、連れて来るんだった。
ちっこい位牌。
今度、旅行する時は持ち歩いて連れて来ようかな。それとも不謹慎?
年末に呼ばれた時は、このタイミングで危篤ってどうよ!?心の中で正直悪態ついた。
どうもいつもタイミングが悪い人だ
葬儀も悲しみも何もなく。
でも海に着いて歩き出した時から、何ていうか、色んな思い出と感情がブワッと湧き起こって来て、空と海見てるのに、過去のことが思い起こされるような。
許せないことも多々あったし、大事なことは、何一つ私に伝えなかった人だし、なのに、この海で思い出の多くは些末な、くだらないような、小さな出来事なんだけど、私はこの人に育てられて、この人の血の繋がった孫なのだな、という何か。
私が食べることが好きなのも、きっと祖母に似た気がする。
涙が溢れたら海風に攫ってもらおう。