前回からの続きです。

 

私が作っている「根頭癌腫病と戦う微生物入り培養土【商品名】ベストミックス」に混入しなかった、最近よく見聞する資材について述べてみようと思います。

 

 

混入しない物について(近頃、注目されているいろんな資材)

 

 

クリプトモス(商品名です。ネット検索で販売品がヒットします)

製材所にて木材を加工する際に出る、杉檜の樹皮を細かくしてピートモス状にした副産物です。ココピートと同じように、たいへんエコな商品です。杉檜の樹皮は神社などの檜皮葺(ひわだぶき)の屋根に使用されるように、分解されるのに時間がかかります。なるべく国産材料の培養土を作りたいと思っていますが、この「クリプトモス」は特許を所得しており、価格も高いので(ココピートの約倍額)、混入を断念しました。戦争などで世界情勢が変わり、ココピートが値上がりしたら、これに変えてみようとは考えています。良い物なので、興味のある方はお試しください。

 

 

マイコジェル(商品名です。ネット検索で販売品がヒットします)

Rhizophagus irregularis ライゾファガス・イレギュラリスという遺伝子組み換えの菌根菌です。ハイポネックス社が販売しているので、何となく優良な物のようなイメージを受けますが、自然界に存在しない未知の生物です。毛根病と同属で、病原性ではないと言うものの…、毛根病と同じように毛根だけを異常に増やします。また、根頭癌腫病の原因菌と親戚関係の菌です。イレギュラーとの名前が示すように、(一社)日本菌根菌財団は「わが国の自然環境を破壊する」と警鐘を鳴らしています。いずれ、バクテローズのように生産中止や販売中止になる可能性もあります。

 

サチュライド(商品名です。ネット検索で販売品がヒットします)

砂漠が多いオーストラリア生まれの界面活性剤です。高価に加え、有効期間が、固形6ケ月、液体1ケ月と短いので使用していません。バーミキュライトやパーライト、ピートモスなどは、水を弾いてしまうため、界面活性剤を使用した方が良い場合も多々あります。特に種まき培土などは水が浸み込んだようでも、中は乾いていたりします。そんな時には、これが有効になります。また、有用微生物が増える状態も、適度な水分が必要なので(80~95aw)乾燥や水を弾く状態は避けたいものです。ただ、天然の界面活性剤も大豆や卵黄の「レシチン」、牛乳の「カゼイン」、植物系の「サポニン」があり、その中から私はサポニンを含むつばき油粕を採用しています。

ちなみに、サチュライドに似たもので、コンダクターL(液体)と(固体)が、加えて、サイマトEZという商品もあり、これらも農業用の界面活性剤です。製造しているのはアメリカのAquatrols社です。

また、界面活性剤ではないですが、EFポリマーという製品も最近よく目にします。インド人が発明して、沖縄の人が売り出した、という商品で、オレンジの皮などを原料にし、約半年間有効で、約1年で分解されるという商品もあります。

国産の商品だと、ポリアクリル酸ソーダ(ナトリウム)が成分のゲインウォーターという商品があります。これは紙おむつの吸水剤を農業用に転用した商品です。赤ちゃんのおしりに触れても、間違って口に入れても、毒性はありません。水切れや水やりが大変な方は、これらの化学物質を利用するのも一つの方法だと思います。

 

EB-aエコ(商品名です。ネット検索で販売品がヒットします)

ポリエチレンイミン系の高分子の化学物質です。あらゆる種類の土壌(粘土のような田んぼの土など)を瞬時に多孔質の団粒にし、水はけを良くする商品です。培養土は基本的に、水はけが良くなるように配合していますので、特に必要になるとは物ではありませんが、興味のある方はお試しください。ちなみに、鉢植えで底から水が抜けない状態になることがありますが、この一番は鉢底石の目詰りで、二番目の原因は根詰りです。鉢底石に赤玉土を使っていると、時間経過で崩れて赤土になりますので、定期的に植え替えが必要になりますが、この商品を使うと水はけを改良できます。

 

ニームオイル、ニームケーキ (インドセンダンの種から)

殺虫効果や微量要素で元気になるなど、いろいろ宣伝されています。現在、JAS有機の資材として認められていますが、薬効などを認めている訳ではなく、単なる有機物の資材としての「その他」の認定です。天然の殺虫成分としてアザジラクチンという物質が含まれていますが、散布濃度や流通品(販売商品)の差などで効能が左右されるようです。私が以前、ナスを作っていた時に、県の農業振興センターの職員に、ニームなどを使っても良いか問い合わせたところ、食べ物には使わないで欲しいとのことでした。が、近年、ニームに含まれる各物質は、厚生労働省からも安全性が発表されています。私は使用していませんが、興味のある方はお試しください。ちなみに、ニームとは関係ない話ですが、日本にもニームのインドセンダンとは別の種類のセンダンの木というのが、関東以西の暖かい地域で自生しています。葉や花の付き方が似ているために、どちらの樹木もセンダンと呼ばれます。私の住む高知県西部には、学校の校庭や天然の街路樹のように至る所に生えており、その実は秋のムクドリの主食になるため、道路上に種が散らばるのが(高齢化で自宅の周りの道路を掃除する人も減ったので…)晩秋の風物詩となっています。このセンダンの実はサポニンを多く含んでいるため、人間が多量に食べると、下痢を起こして最悪の場合は死に至ると言われています。しかし、界面活性剤としてのサポニンは捨てがたく、今後、このセンダンの木と石鹸の木と呼ばれるムクロジから、天然のサポニンを取って見ようと計画しています。

 

以前からある、菌の黒汁、HB-101など

それぞれ、以前使用してみましたが、費用対効果が期待できなくて使うのをやめました。(どんな農業資材でもそうですが、効いた…とか、効かない…とかは、個人的主観が強いので…) これらも、興味のある方はお試しください。化学物質を多く含むような製品ではないので、安心安全な商品です。ちなみにですが…、私の畑では今年度より、サプロール(殺菌剤)を使わずに、「どれだけ黒星病を制圧できるか実験」を行っています。確証は無いのですが、農薬の殺虫剤より殺菌剤の方が人間の体に害がある…と聞いたことがあるので、殺菌剤を使わなくて済むのであれば…と考えました。その殺菌剤の代用品は、糖蜜の薄めた物に、このベストミックスで混入している農業用微生物資材を投入して数日間培養し、糖蜜の蜜の香りが抜けかかった頃合いで茎葉全体に散布しています。本年度(2024年春)は例年に比べて雨が多いので、葉が全て落ちて花やツボミだけになってしまった株もありますが、そんな雨に弱い品種以外では、概ね殺菌剤と同等の成果が出ています。これらは活きた微生物なので、前述の「費用対効果が期待できなくて…」という商品は、店頭で何ヶ月も経過した商品が多く、確実に微生物の活性も、そのパッケージの中で生き残っている微生物の種類も変わっており、「それほど効かなかった…」みたいな結果になっているのでしょう。私の糖蜜と微生物が主成分の黒星制圧剤、通称「4L80」でも、昨日までは蜜の香りがあったけど、今日は魚みたいな生臭さに変わった、なんてことも度々ありますので、これらの微生物を謳っている商品には、本当に有用な条件や期間を明示してもらいたいものだと感じます。また、私が使っている微生物資材以外で、有名な物として「強力カルスNC-R」というのがあります。私も以前に何度か使用したことがあります。この微生物資材の販売代理店をしている会社の社長さんがとても熱心な方で、良いことも悪いことも、いろんな情報として伝えてくれて、「微生物資材は条件や施用日数などで、中の菌がどんどん変わって行くから、何日も放置した状態だと、良い結果は出ないですよ」と。生き物相手なので…。酒蔵などで昔はよくあった「腐造」や、昨今の「紅麹」の問題なども、ちょっとしたズレが引き起こした事情なのだと思います。

 

 

以上が混入しなかった、諸々です。

 

次回から、根頭癌腫病のいろいろな事情や、罹患株についてなど、様々な内容で述べて行こうと思います。よろしくお願いします。

 

 

 なおこのブログは、私が作っているバラ用の「根頭癌腫病と戦う微生物入り培養土 【商品名】  ベストミックス(BEST MIX)」をお知らせするためのブログです。

最後の清流と呼ばれる四万十川の流れる、高知県の田舎から、全国のバラや桜の未来を案じて…、この培養土を作りました。ご連絡を頂ければ、直接発送も致します。グーグルマップにて「高知県四万十市(しまんとし)秋田(あいだ)」で検索してみて下さい。

 

 

根頭癌腫病と戦う微生物入り培養土(2024年3月15日、発売を開始いたしました)

【商品名】ベストミックス、【内容量】14ℓ、【重量】約6kg、【定価】1500円(直販割引等もございます)

【内容物】バーク堆肥、ココピート、赤玉土、鹿沼土、四万十の土、もみ殻燻炭、パーライト、バーミキュライト、農業用微生物資材、つばき油粕、米ぬか、蟹殻、糖蜜など

※ 一般的な微生物混入培養土より、微生物をたっぷり入れています。庭土や安価な培養土に混ぜても有効です。

 

 7ℓのお試しサイズ(1000円(直販割引等もございます)送料別)も作りました。直接メッセージいただくか、ヤフオクなどを検索して下さい。よろしくお願いします。

 

(注)このブログは、私が製造販売しているバラ用培養土「ベストミックス」のお知らせブログなので、学術論文ではありませんが、大学や研究機関の論文などを参考にしています。