以前FBにまとめた記事を紹介します。

 

世界自然遺産に登録されている小笠原諸島では、東京都獣医師会の協力で、希少種保護のために山林から捕獲した猫を全て譲渡する取り組みを行っています。その譲渡数は既に1000匹を超えているそうです。

 

ところで、奄美でも小笠原と同じ取り組みを試みたことがあるんだそうです。奄美での取り組みでは、フェリー会社と鹿児島県獣医師会さんが尽力されたのだそうです。しかしながら、鹿児島では譲渡が困難だったために小笠原モデルは、奄美で断念されたようです。東京と地方都市では猫事情(東京は外猫がだいぶ減っているが、地方はまだまだ猫だらけ)も違いますし、懐事情も違うのです。おそらくですが、小笠原モデルをそっくりそのまま奄美沖縄で実現するのは難しいと思います。鹿児島や沖縄の獣医師会が総出でも、県内だけで猫を譲渡するのは難しいのが現実かもしれません。

 

一方で、御蔵島や天売島の猫対策で示されたように、山のなかで野生化した猫に関しては、TNRでは十分な効果がでない(リターンするのでそもそも即効性がない)のも現実のため、TNRのみで対処することは難しいと思われます。

 

ところで、海外では野生化した猫は殺処分を伴う駆除をする国も多いです。こういった海外の状況と譲渡が容易ではないことを根拠に、ノネコの捕獲殺処分を正当化する意見もあります…しかしながら、日本人はノネコと野良猫で命の線引きすることに抵抗を感じる傾向が強いため、日本らしい解決策を見出すのが大事だと思います。(※欧米は、管理できない動物に対する安楽死の捉え方が日本人とそもそも異なります。ペットに安楽死を選択する確率も、日本人と欧米人では全く異なります。ここには文化的、宗教的背景もあると思われます。そのため私個人の意見としては、欧米と同じ方法で日本でノネコ問題を解決する必要はないと考えています。)

 

では奄美沖縄はどうしたらよいのか…というと、なかなか難しいのですが…

 

一つ間違いないのは、捕獲される猫の命を救うには、首都圏などに猫を輸送して里親探しができる体制の構築が不可欠と思います。(沖縄の保護猫のうち一定数は首都圏に輸送され、里親探しをしています。また、既に奄美沖縄から、首都圏の団体さんの下に「ノネコ」が飛び立っていっています。)

 

獣医師会に関しては、初期医療と野良猫や飼い猫の避妊去勢支援なら協力を仰ぐことが可能かもしれません。一部でよいので、保護譲渡事業も請け負ってくださるともっと嬉しいですが…もちろん、こういった活動のためには予算が必要と思われます。観光、航空業界など(財政面や猫輸送費用支援)と行政、ボランティア、獣医師会、総出で問題対処に取り組むことを希望します。

 

もう一つ大事なポイントとしては、捕獲主体に猫の里親探しをしていただく可能性を探ることです。沖縄の猫の捕獲を請け負うNPO団体さんは、既に一部の猫の里親探しをしてくださっていますが、殆どの猫の里親探しはボランティアさんに頼っている状況です。捕獲主体さんはさまざまな野生動物保護事業をしてくださっている、予算規模も大きいNPO団体さんです。だからこそ、譲渡事業の強化を是非ともお願いしたいですm(._.)m

 

現在のノネコ問題で非常に懸念されるのは、ノネコ駆除を推進する行政などと、猫の愛護団体で対立の構図があることです。行政からすれば、愛護団体が捕獲された猫を引き出すことによって、行政への国民の批判を避けることができている一面もあるかもしれません。愛護団体にとっては、民間の力だけで、全ての捕獲された猫を引き出すのは限界になりつつあり、行政と連携する必要性を一番痛感しているものと思います。この対立構造が、協力構造へと変化して、猫も希少生物も、みんなで守っていく体制へと変化してほしいと祈っています。それが多くの日本国民が納得する形だと信じます。

 

さいごに…動物愛護法に則れば、駆除目的で捕獲された猫は原則引き取り拒否の対象です。安易な捕獲殺処分をある地域で容認することは、動物愛護法やTNR・地域猫活動を骨抜きにする恐れがあります。だからこそ、行政などには是非とも、譲渡事業に力を入れていただきたいのです。

 

沖縄の言葉「命どぅ宝(命は宝)」の精神が猫にも届きますように…