長きに渡って連載(?)してきた本稿でありますが、いよいよ今回がラストサムライのファイナルカウントダウン。ついに最終章に突入したということで、さっそく具体的な打ち方をご説明させていただきとう存じます。

まずはこの手牌をご覧ください。みなさんはここから何を切りますか?
(ドラ・巡目・点況は無視)



打牌候補としては…2p・4p・6m・8m、ちょっとひねって2sあたりが挙げられると思いますが、さてどうでしょう?

4pあるいは2pを切る(カン3pを外す)と答えた方、おめでとうございます。もっとも合理的でマジョリティな回答であります。

この手牌はすでにタンヤオが確定しております。カン3pを外すことにより2sまたは8mポンで和了に近づけるだけでなく、余剰牌として安牌を1枚持つことができます。いっやー、まさにいいことずくめですね。(裏目の3pを引いたときだけ痛いですが、それを云ったら何を切っても同じなのでやむなし)

自分も古久根御大と話をするまで、この形なら何も考えず4pを切っておりました。それが「もっとも正しい選択」だと思っていたのです。ところが。

いまは何も考えず8mを切ります。自然に8mが切れるようになりました。いわゆる「6ブロック打法」というやつです。

※8mを切る=カン7mとカン3pの選択を先送りにする…という考え方。山読みや手牌読みのレベルが低い(それほど高くない)中級者用の打ち方のひとつだと思ってください。

古久根御大がわいに教えてくださった「フォーム」の基本は至極単純明快です。すなわち、

◆4メンツ1雀頭を「自分のツモ」で作る
◆基本的に鳴きは考えない
◆常にシュンツ手がベース(コーツ手は無視)
◆できるかぎり最終形を良形(リャンメン以上)にする

…たったこれだけ。ものごっついシンプルやんけー!

※実際は基本フォームに関する話だけでもまだまだ細かな要素は山ほどあるのですが、そこまで説明していたらキリがないので必要とあらばそれは要所要所でカキコさせていただきとう存じます。

ここで最初の手牌と上記の基本フォームを見比べてください。「基本的に鳴きは考えない」ということはつまり、この形から2sや8mは鳴かないということであります。鳴かないことが前提なら…必然的に8m切るしかないべ? それ以外の選択肢はないべ? つまりはそういうことであります。

もう一歩踏み込んでこの手牌で話をさせていただきますと、正直なところ以前のわいはこの形からカン7mとカン3pのターツ比較ができませんでした。というか、しようとも思いませんでした。

どちらも同じ尖張牌(3・7)待ちなので、場況を無視した場合、どちらが「より良いターツ」なのかを判断できなかったのです。

つまり、わいはその程度のレベルだったのです(はらり、落涙)。

みなさんはどちらのターツが優秀か瞬時に答えられますか? 即座に答えられたあなた、あなたは数ヶ月前のわいより麻雀牌のメカニズム(=牌効率/牌理)に長けている方です。おめでとうございます(なにが?)。

※答えはカン7m。理由は、自分が8mを2枚持っている=他家がその隣の7mを若干使いづらいから。

さて、まだまだ超基本フォームに関してカキコすべきことはあるのですが、わいはべつに戦術書の原稿を書いているわけではありません。古久根御大のゴーストライターでもございません。そもそもギャラも発生しておりません。ということで、このまま話を進めさせていただきとう存じます。

ここからは、会話の中でわい個人に向けて古久根御大が発信してくださった、抽象的でありながらもものごっついためになったレクチャーでございます。一部重複している文言もありますが、自分が番組のTSを見ながら書いたメモをそのまま書き起こします。

◆とにかく自分の手牌/手順が最優先
◆目先の損得を考えない
◆麻雀における元々の身体能力は高い(少なくとも平均以下ではない)
◆すべて「たまたま」ではない前提で考える
◆まずは絶対的に自分の手牌構成
◆相手は麻雀牌(一生、格上の存在)
◆他家に対応して悪循環になっている
◆対応→修正はもっとレベルアップしてからでいい
◆基本的にバランスは取らなくていい
◆「現実的な攻め」を心がける
◆基本的な能力は人より高いと思ったほうがいい
◆「欲」を頭に入れて打たない
◆「怖い」という感情も「欲」のひとつ
◆戦えない=致命的欠陥
◆卓についたら無心に
◆とにかく思い込まない
◆たとえ結果は同じでも手順前後はダメ
◆最終的にはシンプルに
◆手詰まったときはまず「相手の手牌を予測」
◆常にフラットな姿勢で
◆まずはフォーム作りから
◆ベスト・ベターな選択を常に続けること
◆「得」な打ち方はどうでもいい
◆プロなら結果より内容重視
◆手役の想定は薄めでいい
◆とにかく「正しい手順」を続けること
◆守備がハッキリしている部分は変えなくていい
◆必要不可欠なのは「攻める」こと
◆深く、重く、攻める
◆根本的に「ツモれるか否か」が重要
◆発展途上にいる間は「ツモれそう」ならリーチ
◆そのリーチが失敗に終わってもいい
◆配牌で満貫ベースの想定はしなくていい
◆ベースは「強気」
◆なるべくなら情報を出さない
◆相手が誰かを常に考える
◆麻雀=文学/ロマンという考えは変えたほうがいい
◆局消化は一切考えない
◆ずっと自分が主役となり加点を目指す
◆点況によって打ち方を変えない

告白しますと、これらの文言が書かれたメモをわいは常に持ち歩いております。そして対局前に2回は読み返すようにしております。わいはまだまだ弱い人間なのであります(はらり、落涙2)。

さて、ここからは自身の想像を含んだ思考になりますが、せっかくなので備忘録としてカキコしておきましょうおず。

「目先の損得を考えない」というのは、極論するなら供託リーチ棒が5本あろうと10本あろうと無理な仕掛けはせず、普段と同じように手牌を進行させるということであります。

そしてこの思考をさらに発展させると「欲を頭に入れて打たない」に繋がるのではないかと。

トップが取りたい、2着をキープしたい、ラスにだけはなりたくない、ドラ3の勝負手だからどうしても和了したい、供託リーチ棒がほしい、振り込みたくない、リーチのめくり合いに勝ちたい、格好よく打ちたい、ポイントを上乗せしたい、昇級したい…。

これらの感情はすべて「欲」であります。こういった「欲」を完全に頭から消し去り純粋に牌と向き合うことができる人間が存在するなら、おそらくその人が世界でいちばん強いプレイヤーということになるのではないでしょうか。

その「欲」を少しでも消し去るための第一段階として、わいは南場の親が回ってくるまで他家はもちろん自分の持ち点すら一切確認しないことにしております。(もちろん覚えていることも多々あるし、視界の中に入ってしまう場合も当然あるのですが)

そうすることによりこれまで完全にテンパっていた状況、あるいはアツくなっていた状況でも、ある程度はフラットに打てるようになったと自分ではオモテおります。(まあ思ってるだけだと思うけど)

当然のことながら自分がレベルアップするにつれ、そして戦いのステージが上がっていくにつれ、この打ち方では勝てなくなるのでしょう。さすがのわいもそこまで阿呆ではございません。それぐらいはわかり過ぎるほど理解しております。

トッププロの方々は自身の置かれている点況や場況を細部にまで渡って精査し、見えない部分は納得がいくまで予測し、その上で押し引きを判断しているわけで、麻雀という競技/勝負/ゲームの勝敗は(おそらく)この「押し引き」によって決まるのではないかと薄々思っております。

だがでもしかしだけれども、くどいようですがわいはまだまだそのレベルには到達しておりません。とにかくいまは基礎工事の時期なのです。

では最終最後となりましたが、わいの得意分野である精神論でございます。

わいはこれまでの2年間、ひたすら昇級のことだけを考えてリーグ戦を戦ってきました。しかしながら冷静に考えまするに、わいは麻雀関連の業務だけで食べている生粋のプロではございません。101競技連盟所属・成岡御大いうところの、いわゆる「兼業プロ」であります。というか収入の大半(99%)をPS関連の業務で得ている時点で「兼業」ですらないのかもしれません。

昇級しようと残留しようと降級しようと、現時点では自身の生活に一切影響はございません。つまりどういうことかと云うと…得るものはあっても、わいには失うものが一切ないのです。

そういう考えにたどり着いたとき(今期)から、対局そのものを純粋に楽しめるようになりました。昨日、序章的なmonjiで記した「ストレスの軽減」というやつです。ええ。

※これはPS界においても同じことが云えます。「最悪、明日からPS関連の仕事が全部なくなっても、知り合いもいっぱい増えたしどうにでもなるYO!」と考えるようになってから(いい意味で)気楽に業務を楽しめるようになったのです。

嗚呼、本当はここまで書くつもりはなかったのだけれども…まあ乗りかかった船(あるいは波平)ということで、今回はサービスな!(なんの?)

ちゅーわけで長文駄文乱文雑文、大変失礼しました! そして最後までお付き合いくださった奇特なおぼこちゃんたち、アッザイマシタ!

今期C3リーグの最終節は6月中旬。そのときみなさまに「よろしきご報告」ができることを祈りつつ。念じつつ。

あー、マジで昇級してぇよぉぉー!
(結句、欲まみれ)

責了