はいどうも。パチスロ界のスカーレット・オハラ、麻雀界のヤヤトゥーレこと沖ヒカルでございます(三つ指)

さて、来たる12/26に「沖ヒカルの煩悩雑記 ~パチスロライターからの卒業~」という雑記本が発売されるわけですが、

今回はその記念(記念?)として、少しくなつかしいmonjiをコピペさせていただきとう存じます。

そこそこ長いので興味のない方は今のうちにそっと(人知れず)このページを閉じてください。そして二度とこの場には寄りつかないでください。

ではスタートします。

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「海に生きる」第19回


 知っている方も少しはいらっしゃるかもしらんが、わいという人間は昔から、お盆や正月やゴールデンウィークやクリスマスや誕生日といった、世間の一般の人びとがなんの疑問も持たず当たり前のようにふわふわした気持ち心持ちで楽しんでいるイベントごとが苦手というか、そういったイベントごとに参加すること自体に得も云われぬ気恥ずかしさのような感じ感を感じてしまうタイプ/型式の人間であり、たとえば世間の一般の人びとが毎年毎年、年末年始にかけて何回、何十回と発する「よいお年を」「あけましておめでとうございます」といった至極一般的かつ日常的な時候の挨拶にすら、なんとも云えぬ座りの悪さのような面映ゆさのような感じ感を感じてしまうわけで、このままではいずれ世間から孤立してしまうのであろうなあ。そのうち誰からも相手にされなくなるのであろうなあ。厭だなあ。つらいなあ。なんてことを考えると、悲しくなる。はらり、落涙。

 わいはなんでこんな人間になってしまったのか。なんでどうして世間の一般の人びとと同じように、そういったイベントごとをふわふわした浮き浮きした気持ち心持ちで楽しむことができぬのか。笑顔で「あけましておめでとうございます」と云えぬのか。嗚呼、いっそ死にたい。死にたくない。どっちやねんアホ。なんて部屋の片隅で膝小僧を抱えながら丸まりながら日々、苦悶/懊悩しているのだけれども、じつはその原因としてバッチシ思いあたることがあるわけであり、ぜんたいそれはどんなことかというと、『哲也』というパチスロのモチーフになったあのひと。戦後ピカレスク小説の傑作『麻雀放浪記』を書いたあのひと。すなわち、わいの敬愛するいまは亡き大作家、阿佐田哲也である。

 わいは中学生という、人生においてもっとも多感な時期に氏の作品と出会い、そこに描かれた独特の世界観、そして氏自身が持つ独特の人生観/価値観にとことんばまり込んだ。そんなある日、わいは阿佐田のインタビュー記事を読んだのだけれども、そこにはこんな感じの言葉が記されていたのである。(微妙にニュアンスが異なっている箇所があるかもしらんが、あくまでもわいの記憶のなかの記事ということでご了承いただきたい)

「ーーあのね、表札ってあるじゃないですか。僕はね、あれが苦手なの。なんていうか、自分みたいな人間が世間さまと同じように、堂々と玄関に名前を晒していいのかなって。僕はそんな立派な人間じゃない、っていう思いが常に頭のどこかにあるんですよね。あと、たとえば朝起きて歯を磨くじゃないですか。その、自分が歯ブラシを使って歯を磨いてるっていう行為を俯瞰で想像すると、すごく恥ずかしい。なんていうか、みんなと同じことをしている自分がだんだん滑稽に思えてくるのね。子供の頃から劣等感の塊みたいな人間だったから、そういうのが影響してるんですかね。とにかく僕は、世間で常識とされていることになんともいえない恥ずかしさを感じてしまうんだよね。変な人間だよね」

 かかか、かっちょエエわあ。そっかあ。そうなのかあ。世間の人たちが当たり前のように行っている「常識」というものに恥ずかしさを感じることができれば、つまり常識を常識と捉えないアウトロー的な純主観的な感性を身につけることができれば、わいも阿佐田哲也みたいな人間になれるのかしらん。よし、明日からがんばろう。がんばっていろんな常識に恥ずかしさを感じるように努力しよう。

 その日からわいは、「汝、常識にとらわれるなかれ」「汝、常識に振り回されるなかれ」という二大スローガンを心に掲げて生きてきた。本当にアホな人間だなあ、と心の底から思フ。

 そしてそんな俺が、そんなアホみたいなひょっとこみたいな俺が、先日ついに四十一になってしもうた。正味の話、このままでは本当に駄目だと思う。誰かなんとかして下さい。切実。

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この文章を書いたのは4年前。

もちろん、いまもこの性格は変わっておりません。

社交的で明るくて話し好きで気が利いて…みたいなことをよく云われますが、私はけっしてそのような人間ではございません。

近しい知りびとは全員知っていますが、わいは一人でいることが大好きな根暗であり盆暗であり、まあ簡単に云うと最下層ステージの人間なのです。

逆にウケるよね。って、ウケねーし!

とまれ、本当はこの「海に生きる」の数篇~十数篇を「煩悩雑記」の序章として掲載したかったのですが、紙幅の都合上それは無理という結論が早々に出てしまい…。

せっかくなのでこの場を借りて、少しずつでもアップしていこうかな…みたいなことを考えている次第でございます。

ただ、最初のほうの文字データが現在使用しているMacの中に入っておらず。

おそらくは(忌まわしき)WINの中に残っているとは思うのですが、もしそれが見つかったら徐々に掲載していく予定であります。

ではみなさん、ごきげんよう。

メリークリスマス(超極寒!)

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(・~・)b