AKBさえ学校編 第五話~前田敦子の事情~ ver.前田敦子 | 暇人のAKB小説置き場

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どうも、オケラです。

ここでは、AKBの小説を載せていこうと思っています。

どうぞ、宜しくお願いします

 あ~、
 やっと休みだ。
 疲れた。もう寝たい。
 もう眠たい。

 最近、バラエティーやらドラマ撮影やら雑誌取材なんかでスケジュールに隙間がなかったから、
 疲れが溜まって溜まって、
 ベッドにダイブしたら3秒くらいで眠れる。


 ……
 そんなときに、
 家に帰ったら、


『せっかくの休みなんだから、学校行ってきなさい』


 ってお母さんに言われた。
 ……
 いや、確かに私は学生だから学校行くのは当然かもしれないけど、
 ちょっとくらい休ませてよ。
 せっかくの休日なんだから、家でごろごろさせてよ。


 という、私の願望も届かず、
 学校へ行くはめになってしまった。
 あ~、
 だる。

 長い道のりを歩み、
 やっとの思いで学校に着いた。


 ……だけど、


「ねえねえ、あれ前田さんじゃない?」

「え!? 本当!?」


 周りからひそひそと何か声が聞こえてくる。
 ……
 そうだった。私芸能人だ。
 やだな~、学校でも休めないじゃん。


                   ※



 ……
 案の定、休めなかった。

「あ、あの、前田さん。ずっと前からファンでした。握手してください」

「あ、いいですよ」

「あっちゃん!! こっちにサインしてくれ!!」

「あ、わかりました」

 す、すごい人数。
 いつものように守ってくれる人もいないから、
 もう押し寿司のようにギュウギュウ。

 何人いるんだろう?
 ざっと100人くらいかな?



 ……
 いくらなんでもこの人数は対応しきれない。



「こらーーーーー!! お前ら教室に戻れ! 授業始まるぞ!」

 あ、先生。
 ……なんていう先生だっけ? 名前よく覚えてないや。
 ま、いっか。

 やっと解放された。
 この学校、こんなに私のファンいるんだ。
 知らなかったな。



 ……



 たぶんみんな、
 『テレビの中のアイドル、前田敦子』を見ている。

 誰も、
 『一人の女子高生、前田敦子』を見ていない。

 やっぱり、どこ行っても変わらない。
 誰にあっても変わらない。


 みんな、アイドルに接するように接してくる。



 お笑いの方も、

『今や国民的アイドルの前田敦子ちゃん。いや~いつ見てもきれいだね』


 学校のみんなも、

『前田さん! サインしてください』


 先生も、

『眠いんだったら寝てても良いぞ』


 ……親も

『ほら、敦子はアイドルなんだから、もっときれいに食べなさい』


 誰もが、
 本当の前田敦子を見てくれない……
 みんな、私がかぶってるアイドルという殻しか見ていない。

 だから、
 誰も好きになれない。
 誰も好きにならない。


 本当の私を見てくれないから、



 私は……永遠にひとりぼっち。


                     ※

 昼休み。
 多くの生徒が私を見ている。
 ……
 なんだか憂鬱。

 そうだ。
 パン買いに行こう。
 今日お母さん弁当作ってくれなかったから
 
 何食べよっかな~、
 久しぶりに焼きそばパンとか食べてみたいな。
 あ……
 でもこの学校、
 確か焼きそばパン人気だったっけ。


 もしかしたら売り切れてるかも……

 私はちょっと不安に思いつつも、
 売店を横から覗く。

 うわ~、
 すごい人混み。
 もう列なんか関係ないくらい人が押し寄せている。


 これじゃあ、買えないな。


「あれ? 前田さんじゃない?」

「あ、本当だ。……道開けた方が良いかな?」



 ……
 なんか聞こえる。
 変なことが起きる前に戻ろうかな。

「あ! あっちゃんだ! お、お前ら! 道開けろ!」



 ……



 誰か一人の男子生徒が、
 大声で叫びだした。
 いや、
 そんなに叫ばなくても。

 と思った時には、ちょっと遅かった。
 もうその場にいた全員が、端に身を寄せ、真ん中に道が空く。

 うわ~、
 通りづら。

 でも……せっかく開けてもらったし、
 通った方が良いのかな?
 てか、全員こっち見てるし。

 私はしょうがなく、
 その空いた道を通る。
 かなり通りづらくはあったけど、
 頑張って歩を進めた。

「あ、あの……焼きそばパン、一個下さい」

 ……道を空けてくれた生徒が誰も喋らない中、
 私は顔を真っ赤にして注文する。


 恥ずかしい……


「はいよ。あ、お金はいらないから。いつも頑張ってるからね。後、メロンパンもサービスであげるよ」

 売店のおばさんは、そういって焼きそばパンとメロンパンを私にくれた。


 ……
 ありがたいけど、
 やっぱりこの人も、アイドルの前田敦子としてしか、接してくれない。

 あんまり良い気分じゃないけど、
 もらった物を突き返すのもあれだし……

「あ……ありがとうございます」

 私は一礼して、
 その場を急いで後にした。

                    ※


 ……
 教室で食うのはなんかやだな、
 食いづらいし。

 どっか人気のないところで食べたいな。


 どっかないかな~……



 あ、そうだ。
 屋上で食べようっと。



 ……どうか誰もいませんように。

 私はそう祈りながら、ドアをゆっくり開ける。
 人は……
 いない。

 よし、食べようっと。

 私は柵の近くにあるベンチに腰をかけ、
 パンの袋を開ける。


 ……
 風が気持ちいい。
 空も晴れてて、絶好の屋上日和。
 誰もいない……
 私だけの空間。
 もう、教室に戻りたくないな~。



ガチャッ



 へ?
 あ……人。

 逃げようかな。
 バレたらそれでなんか面倒だし。
 騒がれて人が集まっても嫌だし。
 私は顔を伏せてバレないようにした。


 ……
 こっちに気がつきませんように。


「あ、あっちゃんじゃん!」

 バレた。
 なんか言われる前に逃げよう。



「久しぶりじゃん」



 ……



 ん?
 久しぶり?

 私は顔を上げてその人の顔を確認する。
 あ、
 宮澤佐江さんだ。

 前、私が学校に来た時も、
 私に話しかけてくれたのを覚えてる。

「あ~! 焼きそばパン! いいな~、てかよく買えたね」


 ……買わせてもらったって言った方が正しいかも。


「あ、そうだ。佐江、今日サンドイッチなんだけど、焼きそばパンと半分個しない?」

「……うん、いいよ」

 あ、なんか、
 友達みたい。

 学校って、こんな感じなのかな。
 こうやって仲の良い友達と一緒に食べて、一緒に話すものなのかな。
 ……すごく楽しい。

「あの、宮澤さん。柏木さんとは、食べないんですか?」

「え、あっちゃんそんなことまで知ってるの? いや、今日はゆきりん早退しちゃったからさ。一人なんだ」

 だから屋上に来たんだ。
 

 ……
 柏木さんには悪いけど、
 早退してくれて、ありがとう。

「てか、宮澤さんってやめて。別にクラスメイトなんだから、佐江ちゃんって呼んでよ」

「え……さ、佐江ちゃん」

「そうそう、その方がしっくり来る」



 ……これが友達。



 この関係を、友達っていうのかな?


 じゃあ、


「ねえ、佐江ちゃん……」

「ん?」






「私たちって……友達?」




 もしかしたら、
 私にとって、初めて友達といえる人かもしれない。

 休みの日、買い物とか言って、
 学校ではお喋りして、
 たくさん遊ぶ人。

 その『友達』っていう関係に、
 私と佐江ちゃんはなってるのかな?




「当たり前じゃん。こうやって仲良く話してる時点で、もう友達だよ」



 ……
 そうか。
 友達なんだ。
 私と佐江ちゃんは……もう、




 友達。




 なんだか、
 胸がいっぱいになった気がする。

 これが、最近味わってない。



 喜び。


続く