人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。

この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。

どれがほんとの色だかわからなくて。

どれが自分の色だかわからなくて。


森絵都作【カラフル】より抜粋





読んだ本は、だいたい気に入った文章で覚えてる


歌なら、フレーズ


映画なら、シーンで


その一部分をふっと思い出して、読み返したり、聴き直したり、観直したりします


だからいつも、本当に好きな作品だけが手元に残ります






この本は、子供が学校の図書室で借りてきてくれました


「私が好きそうだから」と選んできてくれたのでした


読んでみて気に入ったので、後ほど文庫を見つけて買いました


父や母を訳もなく嫌悪したり、
昨日と今日で物事の考え方がまるっきり違ってしまったり、
先はまだまだ長いのに、今しか見えなくなってしまったり


そんな14歳の、刹那的で揺れ動く感情をよく表した作品だと思います


母親の女性性を穢らわしく感じる主人公の少年の心の有り様が、リアルかつ自然に描かれていると思います


うちにも、これから思春期を迎える男子がいるので、重ね合わせて読んだりもしました


子供の前で、やはり母は、母であるべきで、「女」である必要はない


言葉と行動が伴っていないと、その矛盾に気付いて子供たちはついてきてくれない


必死さをアピールするよりも、真面目に、地道にやっていこうと思う


今回読み返してみて、そんな風に感じたのでした