画像・詩シリーズ #7
どういう事情があったものか
十年ぶりくらいの東京
といっても
いつも避けられない用事で来るばかり
夕方、高円寺駅横のJRのホテルから
高円寺商店街に出てみた
「高円寺商店街」といえば
あの、えーと、あの詩人がいたなと
思い出せない
後で調べたら
「ねじめ正一」だった
高円寺商店街を二人で歩いていたら
先の方に高い大きな木が見えた
二人で(なんだろう )
とそこを目指してみた
表札はあったが
家屋に竹や木が密集して
廃屋のようだった
(何があったのだろう )
と周囲を巡ったが
よくわからない
ただ敷地としては広い方だと思えた
見上げると
大木や竹がそびえていた
ここでどんな物語が展開してどんな終末があったのか
誰かが亡くなり誰かが相続したものか
わからない
ただ長く放って置かれてこんなになってしまった
のはわかる
柳田国男の「清光館哀史」を思い浮かべてしまった
大都市の中心部であろうが周辺部であろうが
こんな小さな物語の終末と
受け継ぎの物語がある
たぶん 人は
右往左往しながら
なんとかやりくりしていくのだろう
#画像・詩シリーズ