短歌味体Ⅲ 3302-3401(作品集) | nishiyanのブログ

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この列島の一住民です。(九州)
今までにない最悪の復古的イデオロギー政権を退場させるため消費(GNPの約6割を占める家計消費)を意識的に控える活動を広めることを開始。2017.12.14に休止。★ひとり継続中。

 

短歌味体 Ⅲ    日付
短歌味体Ⅲ 3302-3305 なんとなくシリーズ・続 2019年05月21日
短歌味体Ⅲ 3306-3308 なんとなくシリーズ・続 2019年05月22日
短歌味体Ⅲ 3309-3312 なんとなくシリーズ・続 2019年05月23日
短歌味体Ⅲ 3313-3315 なんとなくシリーズ・続 2019年05月24日
短歌味体Ⅲ 3316-3318 なんとなくシリーズ・続 2019年05月25日
短歌味体Ⅲ 3319-3321 なんとなくシリーズ・続 2019年05月26日
短歌味体Ⅲ 3322-3324 農事シリーズ・続 2019年05月27日
短歌味体Ⅲ 3325-3327 農事シリーズ・続 2019年05月28日
短歌味体Ⅲ 3328-3330 農事シリーズ・続 2019年05月29日
短歌味体Ⅲ 3331-3333 なんとなくシリーズ・続 2019年05月30日
短歌味体Ⅲ 3334-3336 なんとなくシリーズ・続 2019年05月31日
短歌味体Ⅲ 3337-3339 なんとなくシリーズ・続 2019年06月01日
短歌味体Ⅲ 3340-3342 出会いシリーズ 2019年06月02日
短歌味体Ⅲ 3343-3345 出会いシリーズ・続 2019年06月03日
短歌味体Ⅲ 3346-3348 出会いシリーズ・続 2019年06月04日
短歌味体Ⅲ 3349-3351 出会いシリーズ・続 2019年06月05日
短歌味体Ⅲ 3352-3355 出会いシリーズ・続 2019年06月06日
短歌味体Ⅲ 3356-3359 出会いシリーズ・続 2019年06月07日
短歌味体Ⅲ 3360-3363 出会いシリーズ・続 2019年06月08日
短歌味体Ⅲ 3364-3367 出会いシリーズ・続 2019年06月09日
短歌味体Ⅲ 3368-3370 出会いシリーズ・続 2019年06月10日
短歌味体Ⅲ 3371-3373 出会いシリーズ・続 2019年06月11日
短歌味体Ⅲ 3374-3376 出会いシリーズ・続 2019年06月12日
短歌味体Ⅲ 3377-3379 出会いシリーズ・続 2019年06月13日
短歌味体Ⅲ 3380-3382 出会いシリーズ・続 2019年06月14日
短歌味体Ⅲ 3383-3385 出会いシリーズ・続 2019年06月15日
短歌味体Ⅲ 3386-3388 出会いシリーズ・続 2019年06月16日
短歌味体Ⅲ 3389-3391 出会いシリーズ・続 2019年06月17日
短歌味体Ⅲ 3392-3394 出会いシリーズ・続 2019年06月18日
短歌味体Ⅲ 3395-3397 出会いシリーズ・続 2019年06月19日
短歌味体Ⅲ 3398-3399 出会いシリーズ・続 2019年06月20日
短歌味体Ⅲ 3400-3401 出会いシリーズ・続 2019年06月21日

 

 

 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3302
検査の日、決められた通路
を淡々と
通り抜けて 病院を出る


3303
バシィーン 外はいい天気
いつもより
少し軽い心歩き出す


3304
もしも異変が起こってたら
どういう
屈折した迷路に入り込んだものか


3305
仮定法の流れに乗っても
仕方がない
それはその時 今はこの流れに


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3306
仮定法は後悔の小舟か
・・・・・
空白を埋める遅すぎた言葉


3307
どんな家庭にも下りてくる
仮定・対処・構築の
誘惑の鉄の糸糸糸


3308
鉄の過程を踏みしめて
仮定の
舟を漕ぎ出すなんて 知らねえよ


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3309
仮定法は死の匂い
するすると
すべり落ちる空白の森


3310
花も鳥も作り物の
ずんずんと
斜面すべる感じがしないなあ


3311
なんとなく仮定の韻は
他人事
身と心が離れていくよ


3312
それでも仮定の丘陵(おか)を
振り返りながら
しがみついている必死の手


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3313
なんとなく紙ヒコーキ
飛ばしてみる
思ったよりも飛んでゆく 大空


3314
飛ばしたのは空気感じて
離した手
の瞬間のドラマ 消失


3315
消え去ってもロウソクの煙
ゆらゆら
よりも頼りなく記憶の木に留まる 青


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3316
のびるのびる触手が
のびてゆく
そら、空、空、紙ヒコーキへ


3317
距離が揺ら揺らいでる
「道の長手を 繰り畳ね」
淡い青の空の道よ


3318
溶けた青のわたし
ゆっくりと
紙ヒコーキにまたがる


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3319
気負いなくても点灯する
紙ヒコーキ
に乗り込んだ心の座席


3320
昨日の空を夜間飛行
ぼうっと
点った座席 夜空を漂う


3321
絵の具を取り出し塗る
必要はない
気分のままにぱあっと広がりゆく


 


 [短歌味体Ⅲ] 農事シリーズ・続


3322
ソラマメは種一つから
花開き
無数のさやを実らせる ふ・し・ぎ


3323
咲いても咲いても実らない
不毛の
大地の物語を通ってきたのか


3324
ヨハネの比喩の遙か彼方
一粒の麦
自身は受難を語らない


 


 [短歌味体Ⅲ] 農事シリーズ・続


3325
鳴かないネコはスリスリして
空腹を
伝えようとする 気・づ・き


3326
伝えるということのない?
ソラマメは
静かに風に揺れている


3327
それでも見つめるわたし
に湧き上がる
過剰の剰余 気づきということ


 


 [短歌味体Ⅲ] 農事シリーズ・続


3328
ソラマメの鞘(さや)をむいている
ひと鞘に
3個を最頻値に2つ、1つ、たまに4つがある


3329
いずれの実のなり方も
起源・変位・構成に関わって
ふしぎだねと言うほかない


3330
この世のありとあらゆるもの
潜り抜け来た
時間の作品として朝露に濡れている


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3331
あどちゃんのお絵描きみたい
〈あ〉〈お〉〈い〉〈そ〉〈ら〉
と青空がクリアーに立ち上がる

註.昔テレビで観た水森亜土。絵描き歌を歌いながらお絵描きしていた。


3332
内情はそんなにリニアー
でもないな
〈あ〉〈い〉をつかみそこない青空へ


3333
ぐるぐると〈あ〉を塗っていると
なんとなく


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3334
一枚の木の葉が落ちて
ゆくよと
心傾き追いかける 今は


3335
なんとなく気がかりがある
からか 空
洞をひらひら落ちてゆく 夕暮れ


3336
初夏なのになんとなく鈍く
陰り折れ
込んでくる葉のみどり シンシン


 


 [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3337
なんとなく蹴ってしまった
石ころが
ぶつかり跳(は)ねぶつかる 石ころは


3338
〈ある〉だけでただ〈いる〉だけで
波風立ち
海も割れる 行き交うものがある


3339
言葉のない絵本アニメにも
静かに
言葉服を着て追いかけてゆくよ


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ


3340
生の魚との出会いの
初めには
誰もが色んな物語の中に浸かる


3341
魚をさばく さばきの道は
枝分かれ
さばかれた言葉たちが横たわる


3342
その通路(みち)を通ったら もう
戻れない
刺身の言葉で飾られるぞ


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3343
くり返し行き交っていると
出会いの
はじまりは消え見慣れた椅子がある


3344
重力の今ではあるけど
時には
出会いのはじまりや終わりが降る


3345
変わらない日々が続く
顔をして
我も彼も風景も今を生きる


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3346
叫ぶわけではないけれど
出会え!出会え!
と聞こえてくる コマーシャル時代


3347
DEAERUDEAIDEAE
誘いかける
!が耳に響いている 遮断


3348
コマーシャル言葉は
なんとなく
わかっちゃうんだよなあ 嘘嘘


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3349
いろんなものに出会いすぎて
ギスギスと
もうね 出会わなくてもいいんだよ


3350
言葉でも出会いすぎたよなあ
煩悩の
残骸とは言わない 無言


3351
出会いがプラスであれ
マイナスであれ
中道(なかみち)を人はぞろぞろ渡ってゆく


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3252
それでも生きてるかぎり
自他に
出会いくり返すだろう 黙々野


3353
言葉の舟に乗り込むとき
どこかから
見られている気配がある


3354
待ち合わせて出会うとは
限らない
靄に包まれたいくつもの層を抜けていく


3355
手ぶらの現在から
ぼくは影
静かにぶつかり来るものに出会う


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3356
(雨が降った 重たい 雨が
降り続いた
雨乞いしないのに雨中の人となる)


3357
〈あなたがきちんとさんに
なってくれれば
雨は上がり日が差したのに〉


3358
(おれの言葉はねじれに
ねじれ
肌荒れ果てて 雨中)


3359
〈待ってぇ 待ってよお
ほら雨
止んでいるでしょう?〉


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3360
(こんなに重たい雨続きの
世界なら
生まれない方が良かったよ)


3361
〈何を言うの光太 わたしたちは
光りあれと
あなたの誕生を祝ったのに〉


3362
(そんなことは知らない この雨
雨続きの
今この椅子 どうしてくれる)


3363
〈(「あんたなんて産まなきゃよかった」
って言う
てしまいたい 世界の終末ガラガラ)〉


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3364
((言葉は花開かず
根腐れ
している しているぞお))


3365
〈(大丈夫 まだ引き返せるわ
わ わああ
ことばが 言葉が圏外 暗転異国)〉


3366
((俺のせいなんて言わせない
それでも
この空虚 どこまで行く 行くのか))


3367
〈(進む止まる引き返す
いずれも
不毛の時 どうしたらいいの)〉


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3368
向こうで言葉がないている
背景深く
泣いている ような ふ 触れることはできない


3369
言葉の肌荒れ果てても
がむしゃらに
どんどん遠ざかって行く 触れることはできない


3370
沈黙の中で量るしか
仕方がない
言葉の姿形がある 一点の黒


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3371
誰でもが家や地域を
潜り抜け
古い下着でいま・ここを歩いている


3372
そんな重い関係ないと
言っても
誰もがその物語の渦中から上がってきた


3373
家の裏手に名は知らない
夏草が
触れられることなく赤々と咲いている


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3374
子は大きくなって家族の
物語の
渦中に飛び込み歩き出す


3375
時には背中の親を
背にして
明日を思い悩む日もある


3376
ここは似てるかそこは違う
だろうな
つぶやきながら人の道を渡ってゆく


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3377
出会いたいのに出会えない
ぼんやりと
ただ通り過ぎるのを見る


3378
出会いたいものがわからない
けれど青
やわらかく波立っている見える


3379
化粧の出会い素肌の
出会い
いずれも人の出会い出会う


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3380
出会いたくないから避けて
行く道も
必ず湧くにやにやストーカー


3381
未来の芽のひとつ花
花びらが
ひとつひとつ散っていく


3382
追い込まれた花のない花は
どうやって
未来の芽を紡ぎ出すのか


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3383
くたびれて歩いていても
日は差す
どこまでも日が差してくるよ


3384
日の微子が肌に染み入り
流れてゆく
ゆくゆくは小さな灯りが点る


3385
泥の眠りに倒れる
直前でも
日差す灯りが点っているよ ほら


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3386
飛んでくる日の微子たちに
肌の丘陵(おか)
微細にふるえ波打っている


3387
無数の微光が上がり
あったかい
灯りが点る肌の丘陵(おか)


3388
肌の丘陵(おか)の凝り固まった
層深く
ほんのりと赤みが差している


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3389
またひとつ急に死が倒れ
こまごまと
死の儀礼の圏内を行き来する


3390
ひとつの死は時間の中の
なつかしい
顔のイメージ流かき混ぜ宇宙(そら)へ


3391
倒れ来るいくつもの死を
くぐり抜け
黙々とひとの道をゆく

全体の註.親戚の人の葬式に出て。


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3392
ああ こんな所に
そんな花
咲いているなんてと通り過ぎる


3393
出会いの舞台の余韻
歩いている
足下に下っていくよ


3394
夕方の見慣れた景色
少しだけ
新しい色やリズムに揺れている


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3395
日々に擦り切れた靴底
足下から
虹色のてんとう虫が飛び立つ


3396
なんとなくぼくの圏内
を告げる
虹の色が漂っている


3397
小さな虹色でも
大きな虹
へ伸びてのびてつながる日もある


 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3398
(ここで会えてよかったなあ
あなたは
素っ気なく通り過ぎてゆく)


3399
(確かに通り過ぎたけど
それは違う
と思うけど色には出ないか)

 


 [短歌味体Ⅲ] 出会いシリーズ・続


3400
ザクザクと歩いて行けば
変貌する
広がる道 狭まる道


3401
振り返っても仕方がない
過ぎ去った
足跡ばかりが目に入る