短歌味体 Ⅲ | 日付 |
短歌味体Ⅲ 2502-2504 変身シリーズ・続 | 2018年06月23日 |
短歌味体Ⅲ 2505-2510 変身シリーズ・続 | 2018年06月24日 |
短歌味体Ⅲ 2511-2513 変身シリーズ・続 | 2018年06月25日 |
短歌味体Ⅲ 2514-2516 変身シリーズ・続 | 2018年06月26日 |
短歌味体Ⅲ 2517-2519 変身シリーズ・続 | 2018年06月27日 |
短歌味体Ⅲ 2520-2522 変身シリーズ・続 | 2018年06月28日 |
短歌味体Ⅲ 2523-2524 変身シリーズ・続 | 2018年06月29日 |
短歌味体Ⅲ 2525-2527 即興詩シリーズ続 | 2018年06月30日 |
短歌味体Ⅲ 2528-2530 即興詩シリーズ続 | 2018年07月01日 |
短歌味体Ⅲ 2531-2533 即興詩シリーズ続 | 2018年07月02日 |
短歌味体Ⅲ 2534-2536 即興詩シリーズ続 | 2018年07月03日 |
短歌味体Ⅲ 2537-2539 即興詩シリーズ続 | 2018年07月04日 |
短歌味体Ⅲ 2540-2542 即興詩シリーズ続 | 2018年07月05日 |
短歌味体Ⅲ 2543-2545 即興詩シリーズ続 | 2018年07月06日 |
短歌味体Ⅲ 2546-2551 即興詩シリーズ続 | 2018年07月07日 |
短歌味体Ⅲ 2552-2555 山に登るシリーズ | 2018年07月08日 |
短歌味体Ⅲ 2556-2558 山に登るシリーズ・続 | 2018年07月09日 |
短歌味体Ⅲ 2559-2561 山に登るシリーズ・続 | 2018年07月10日 |
短歌味体Ⅲ 2562-2564 山に登るシリーズ・続 | 2018年07月11日 |
★★ | ★ |
短歌味体Ⅲ 2565-2567 変身シリーズ・続 | 2018年07月22日 |
短歌味体Ⅲ 2568-2570 変身シリーズ・続 | 2018年07月23日 |
短歌味体Ⅲ 2571-2573 変身シリーズ・続 | 2018年07月24日 |
短歌味体Ⅲ 2574-2576 変身シリーズ・続 | 2018年07月25日 |
短歌味体Ⅲ 2577-2580 接続シリーズ | 2018年07月26日 |
短歌味体Ⅲ 2581-2584 接続シリーズ・続 | 2018年07月27日 |
短歌味体Ⅲ 2585-2587 接続シリーズ・続 | 2018年07月28日 |
短歌味体Ⅲ 2588-2590 接続シリーズ・続 | 2018年07月29日 |
短歌味体Ⅲ 2591-2593 接続シリーズ・続 | 2018年07月30日 |
短歌味体Ⅲ 2594-2596 接続シリーズ・続 | 2018年07月31日 |
短歌味体Ⅲ 2597-2599 接続シリーズ・続 | 2018年08月01日 |
短歌味体Ⅲ 2600-2601 接続シリーズ・続 | 2018年08月02日 |
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2502
走行中の風の匂い
我に返って
スローモーションで感じている
2503
金属の匂いになじみ
今や ほら
きみのイメージは金属臭がする
2504
風を切るイメージの刃には
必ず
出自とその遍歴が刻まれている
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2505
家族も知り合いも
ミュートして
のっぺりコマーシャル道に乗る
2506
「日本大好き」、ニッポーーーン
ダイスキ。
ほら、きみは今 へ・ん・し・んしてるよ
2507
合い言葉は、「日本大好き」。
アニメの
高ぶる血潮はじける花火
2508
おじさんもSNSの舟に乗り
愛国アニメの
美少女に変身さ
2509
右にも左にも振れずの
中道を自称する
仮想舞台の闇から知的冷笑も唱和する
2510
にぎやかな仮想空間の
向こうでは
おじさんおばさんこどもたちがいるなあ
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2511
変身は大げさなもの
じゃないんだ
0.1グラムの塩でぐらり傾く
2512
揺ら揺らと塩梅(あんばい)の尾根
たどりゆく
肌合いがきゅうきゅう締まりゆく
2513
微分道の〈あ〉の一声が
膨らむ力
変身道を駆けてゆく
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2514
言の葉は刃となって
傷つける
心はスパーンと真っ二つにもなる
2515
(ただの言葉なのにと逃がしはしない)
殺傷は
見えないところに血煙上げる
2516
へらへらと逃げおおせたと
安堵しても
内には鬼神が育ち居るぞ
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2517
変身のボタンを押す
こともなく
言葉はすでに変身ボタンさ
2518
「君達は、今、重要な
ターニングポイント
に差し掛かっています」(そうなのか?)
2519
言葉が言葉と出会う時
渦の湧き
変身への水圧を感じてる
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2520
〈あしたは・・・〉と言葉坂を上るとき
明日が
少し違った色合いの服着て来る
2521
雲流れる〈あした〉の中
ふいと モネの
「日傘の女」に出会った
2522
〈あい〉〈あい!あい!あい!〉
と打ち鳴らし
ただ形の〈愛〉ばかりが入れ替わり立ち替わり
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2523
あらあ、けん坊、こんなところで
何してるの
(あ、いえ、その、あの、(このう!))
2524
短歌詠む人の肩に
短い
髪の毛ひとつとっても気にかかる
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2525
(ああ連絡し忘れたなあ)
ルラルラ
ルーラルルンパパリは燃えているか
2526
この服似合うかなあ
サラカドゥーラ
メティカドゥーラ買っちゃおう
2527
「注文間違えました」
ああ別に
それでいいですよビビデバビデブー
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2528
「そうね、今度にしましょう」
白い車
過ぎ去って行くをぼんやり見ている
2529
(ううん、どうしょうかなあ)
一羽の鳩
急に舞い降りてきた
2530
「ねえねえ、みんな持っているよ」
み、ん、な
みんなかあ(心みんなの空を巡る)
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2531
「現在(いま)が大事だ」そうは思うけど、
の谷間に
まるで重力下のようはらはら散りゆくもの
2532
「今年の夏には、(ほうらほらほら)
このTシャツ!」
耳に聞こえても街には入らぬ
2333
「もうね、もうね、うーんと、もおもおね」
確かに
もうもう場が少し見えるよ
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2534
木の葉が見えているのに
見ていない
心の場所、誰も持ってる
2535
見える時いろんなイメージ群
や匂いや肌合い
すぐに湧きだし一つに合わさってゆく
2536
ぼんやりと見える時には
心の内に
いくつかの層が重なり合っているよ
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2537
その言葉知らなかったと
今の今までの
時間の降り積もりの中に立つ
2538
普通の石磨かれて
光出す
言葉なら照れくさく微笑む
2539
ああじめじめするなあと
語る道筋に
晴れ上がった晴天が潜む
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2540
目覚めの境界で
どどどんより
クリアーなガラスの昼を見る
2541
眠りの世界は死みたい
む、むむむ無
まるでエイリアン物憂く目覚める
2542
「あら、寝てたのね」
(あ、ああ)
世界がぐらり重心移動する
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2543
「今度さあ、海行こうよ、
みんなで」
「(あ、ああ・・・)いいですよ」
2544
あの海がみんなの海へ
急に折れ
模様替えしている
2545
ひとりで見る海ふたりで見る海
みんなで見る
海少しずつ海変移する
[短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続
2546
あの山向こうをよく知らない
二昔前
言葉は五十音に充足してた
2547
言葉の背は避けようもない
重圧に
黙々と耐えてはいた
2548
ふと見あげる風景に
沈黙は
静かに深く日差し受けていた
2549
現在は渇いた喉
多重な音の
順列組み合わせに多忙だ
2550
それは、違うだろう
古びた疑念
おもたく空を切るばかり
2551
渇いた喉から飛来する
悪意の固まりが
上空を飛び交っている
[短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ
2552
山に登る、その前には
小石蹴ったり
花に手触れたり麓(ふもと)まで急ぐ
2553
麓から見上げる山は
とっても遠く
よそよそしいね、異郷の匂う
2554
気分は山気分
囚(とら)われて
一歩二歩と心ここにあらず
2555
先のことなんてどうでもいいさ
とりあえず
いいよと今ここを味わうって難しいなあ
[短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続
2556
(きついな、ああ苦しいな)
まだまだ
半分も登ってはいないぞ
2557
(三分の二まで来ちゃったよ)
ああ風の
心地よく肌触れてゆくよ
2558
(あ、ああ、あー。あああー。)
とうとう
山頂に着いちゃったね
[短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続
2559
長蛇の列に並んで
帰っていく
そのかるーい気分で下ってゆく
2560
上りの重いフィルター
はがれ落ち
クリアーな景色の中をゆく
2561
山登りの物語を
ていねいに
内から語り尽くすは難しいな
[短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続
2562
あの日あの場の記憶は
薄れゆき
おっとっとっとジグザグ言葉になる
2563
生ものも時とともに
変移する
(昔のわたしはどこ行ってしまったの)
2564
うとうとは油断大敵
土ぼこりの
でこぼこ道が舗装道になってるよ
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2565
言葉から手が出て頭出る
霧の中
〈アリ〉が地面に立ち走り出す
2566
幻といっても言葉のからだ
ありありて
待てえ待てえとずんずん来るぞ
2567
言葉にも口があり
深井戸から
わおわおおんと小さく響いて来る
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2568
〈あ〉の髪型が今朝はちょっと
違ってるよ
寝苦しい夢のせい?(あらあ)
2569
〈い〉のイントネーション
今日は
ちと重いね(いろいろあるから)
2570
〈うっ〉と言ったきり
無言。
回送か、救急車無音で行く
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2571
言葉の森で出会った
ひげ文字の
Ichの表情、ちょっとイヤだ
2572
言葉の森にも響き来る
店通りの
声張り上がる(らっしゃいらっしゃい)
2573
(へん、えへん、ヘンシーン!)
あらあらら
耳が二つ消え残ってるよ
[短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続
2574
アクセルを踏み込んでゆく
まだらの〈あ〉が
青魚となり跳ね泳ぎ出す
2575
イメージの舟に乗り
青々と
照り映え進む〈あ〉の航跡の
2576
静けさのカーテン降りて
イルマニア
なつかしい音曲も流れる
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ
2577
おおここは、わがイルマニア
在れ!と言うと
現れるイルマニアの翼
2578
イルマニアの翼に乗って
時間旅行
するすると滑り降りるような気分いい
2579
こんなところにイルマニア
時間の
化石たち乾いてごろごろ
2580
誰もが身に付いた
接続法
を持っている(イルマーニア!)
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2581
ほんとの名前は知らない
昔から
ただ(いるまーにゃ)と言っている
2582
入留間荷屋でも要流真丹矢でも
かまわないさ
ただ心ののどを流れ下る(いるまーにゃ)
2583
うまく流れたかどうか
瞬時に
わかるさその地に住む人ならば
2584
(いるまーにゃ いるまああにゃ)
「おはよう」に似て
遙か彼方からかたち成してきた
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2585
〈イルマニア〉分解されて
〈イル〉〈マ〉〈ニア〉
手足もがれて無惨だなあ
2586
外人の話す(イルマーニ)
少し変でも
この地に近づき顔に見える
2587
イルマニア花咲く頃は
人集い
(いるまーにゃ)喜び流れる
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2588
たくさんの言葉語られ
ぶつかり溶け合い
ひとつ決まる〈イルマニア〉
2589
たくさんの言葉のしずく
こぼれ落ち
この地の水路を流れ始める
2590
この地の風の屈折率
が押し出し
響き渡る(いるまーにゃ)
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2591
数え切れない雲流れ去り
村も変わり
水路整備されてゆく
2592
やむにやまれぬと晴れがましいが
手を結び
〈イルマニア〉神社建つ
2593
小さなことに満足せず
むくむくと
雲の湧き出し株屋、神社に参る
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2594
太い柱、太いしめ縄
選択には
伸びゆくつながりの手の表情がある
2595
自然への引け目とツッパリが
溶け合って
次第に樹木は人の顔立ちになる
2596
祈の太文字が自然や人に
及ぶ時
その飛沫我らにまで及ぶ
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2597
ぽろぽろと言葉たくさん
こぼしながら
きみは言葉みちを食べ歩いて行くんだね
2598
手をつなぎ一二三と
跳んでゆく
心流れる言葉の飛び石
2599
おそらくは見よう見まねに
始まって
小さな心に言葉の家建ち始める
[短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続
2600
(それはね えーとそれはね)
・・・・・・
言葉の手前の駅いつの間にか過ぎた
2601
晴れ上がった宇宙の青は
もうすでに
混沌の時を後にしている