短歌味体Ⅲ 2502-2601 作品集 | nishiyanのブログ

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この列島の一住民です。(九州)
今までにない最悪の復古的イデオロギー政権を退場させるため消費(GNPの約6割を占める家計消費)を意識的に控える活動を広めることを開始。2017.12.14に休止。★ひとり継続中。

短歌味体 Ⅲ  日付 
短歌味体Ⅲ 2502-2504 変身シリーズ・続 2018年06月23日
短歌味体Ⅲ 2505-2510 変身シリーズ・続 2018年06月24日
短歌味体Ⅲ 2511-2513 変身シリーズ・続 2018年06月25日
短歌味体Ⅲ 2514-2516 変身シリーズ・続 2018年06月26日
短歌味体Ⅲ 2517-2519 変身シリーズ・続 2018年06月27日
短歌味体Ⅲ 2520-2522 変身シリーズ・続 2018年06月28日
短歌味体Ⅲ 2523-2524 変身シリーズ・続 2018年06月29日
短歌味体Ⅲ 2525-2527 即興詩シリーズ続 2018年06月30日
短歌味体Ⅲ 2528-2530 即興詩シリーズ続 2018年07月01日
短歌味体Ⅲ 2531-2533 即興詩シリーズ続 2018年07月02日
短歌味体Ⅲ 2534-2536 即興詩シリーズ続 2018年07月03日
短歌味体Ⅲ 2537-2539 即興詩シリーズ続 2018年07月04日
短歌味体Ⅲ 2540-2542 即興詩シリーズ続 2018年07月05日
短歌味体Ⅲ 2543-2545 即興詩シリーズ続 2018年07月06日
短歌味体Ⅲ 2546-2551 即興詩シリーズ続 2018年07月07日
短歌味体Ⅲ 2552-2555 山に登るシリーズ 2018年07月08日
短歌味体Ⅲ 2556-2558 山に登るシリーズ・続 2018年07月09日
短歌味体Ⅲ 2559-2561 山に登るシリーズ・続 2018年07月10日
短歌味体Ⅲ 2562-2564 山に登るシリーズ・続 2018年07月11日
 ★★
短歌味体Ⅲ 2565-2567 変身シリーズ・続 2018年07月22日
短歌味体Ⅲ 2568-2570 変身シリーズ・続 2018年07月23日
短歌味体Ⅲ 2571-2573 変身シリーズ・続 2018年07月24日
短歌味体Ⅲ 2574-2576 変身シリーズ・続 2018年07月25日
短歌味体Ⅲ 2577-2580 接続シリーズ 2018年07月26日
短歌味体Ⅲ 2581-2584 接続シリーズ・続 2018年07月27日
短歌味体Ⅲ 2585-2587 接続シリーズ・続 2018年07月28日
短歌味体Ⅲ 2588-2590 接続シリーズ・続 2018年07月29日
短歌味体Ⅲ 2591-2593 接続シリーズ・続 2018年07月30日
短歌味体Ⅲ 2594-2596 接続シリーズ・続 2018年07月31日
短歌味体Ⅲ 2597-2599 接続シリーズ・続 2018年08月01日
短歌味体Ⅲ 2600-2601 接続シリーズ・続 2018年08月02日

 

 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2502
走行中の風の匂い
我に返って
スローモーションで感じている


2503
金属の匂いになじみ
今や ほら
きみのイメージは金属臭がする


2504
風を切るイメージの刃には
必ず
出自とその遍歴が刻まれている


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2505
家族も知り合いも
ミュートして
のっぺりコマーシャル道に乗る


2506
「日本大好き」、ニッポーーーン
ダイスキ。
ほら、きみは今 へ・ん・し・んしてるよ


2507
合い言葉は、「日本大好き」。
アニメの
高ぶる血潮はじける花火


2508
おじさんもSNSの舟に乗り
愛国アニメの
美少女に変身さ


2509
右にも左にも振れずの
中道を自称する
仮想舞台の闇から知的冷笑も唱和する


2510
にぎやかな仮想空間の
向こうでは
おじさんおばさんこどもたちがいるなあ


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2511
変身は大げさなもの
じゃないんだ
0.1グラムの塩でぐらり傾く


2512
揺ら揺らと塩梅(あんばい)の尾根
たどりゆく
肌合いがきゅうきゅう締まりゆく


2513
微分道の〈あ〉の一声が
膨らむ力
変身道を駆けてゆく


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2514
言の葉は刃となって
傷つける
心はスパーンと真っ二つにもなる


2515
(ただの言葉なのにと逃がしはしない)
殺傷は
見えないところに血煙上げる


2516
へらへらと逃げおおせたと
安堵しても
内には鬼神が育ち居るぞ


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2517
変身のボタンを押す
こともなく
言葉はすでに変身ボタンさ


2518
「君達は、今、重要な
ターニングポイント
に差し掛かっています」(そうなのか?)


2519
言葉が言葉と出会う時
渦の湧き
変身への水圧を感じてる


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2520
〈あしたは・・・〉と言葉坂を上るとき
明日が
少し違った色合いの服着て来る


2521
雲流れる〈あした〉の中
ふいと モネの
「日傘の女」に出会った


2522
〈あい〉〈あい!あい!あい!〉
と打ち鳴らし
ただ形の〈愛〉ばかりが入れ替わり立ち替わり


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2523
あらあ、けん坊、こんなところで
何してるの
(あ、いえ、その、あの、(このう!))



2524
短歌詠む人の肩に
短い
髪の毛ひとつとっても気にかかる


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2525
(ああ連絡し忘れたなあ)
ルラルラ
ルーラルルンパパリは燃えているか


2526
この服似合うかなあ
サラカドゥーラ
メティカドゥーラ買っちゃおう


2527
「注文間違えました」
ああ別に
それでいいですよビビデバビデブー


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2528
「そうね、今度にしましょう」
白い車
過ぎ去って行くをぼんやり見ている


2529
(ううん、どうしょうかなあ)
一羽の鳩
急に舞い降りてきた


2530
「ねえねえ、みんな持っているよ」
み、ん、な
みんなかあ(心みんなの空を巡る)


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2531
「現在(いま)が大事だ」そうは思うけど、
の谷間に
まるで重力下のようはらはら散りゆくもの


2532
「今年の夏には、(ほうらほらほら)
このTシャツ!」
耳に聞こえても街には入らぬ


2333
「もうね、もうね、うーんと、もおもおね」
確かに
もうもう場が少し見えるよ


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2534
木の葉が見えているのに
見ていない
心の場所、誰も持ってる


2535
見える時いろんなイメージ群
や匂いや肌合い
すぐに湧きだし一つに合わさってゆく


2536
ぼんやりと見える時には
心の内に
いくつかの層が重なり合っているよ


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2537
その言葉知らなかったと
今の今までの
時間の降り積もりの中に立つ


2538
普通の石磨かれて
光出す
言葉なら照れくさく微笑む


2539
ああじめじめするなあと
語る道筋に
晴れ上がった晴天が潜む


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2540
目覚めの境界で
どどどんより
クリアーなガラスの昼を見る


2541
眠りの世界は死みたい
む、むむむ無
まるでエイリアン物憂く目覚める


2542
「あら、寝てたのね」
(あ、ああ)
世界がぐらり重心移動する


 


  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2543
「今度さあ、海行こうよ、
みんなで」
「(あ、ああ・・・)いいですよ」


2544
あの海がみんなの海へ
急に折れ
模様替えしている


2545
ひとりで見る海ふたりで見る海
みんなで見る
海少しずつ海変移する


 


   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2546
あの山向こうをよく知らない
二昔前
言葉は五十音に充足してた


2547
言葉の背は避けようもない
重圧に
黙々と耐えてはいた


2548
ふと見あげる風景に
沈黙は
静かに深く日差し受けていた


2549
現在は渇いた喉
多重な音の
順列組み合わせに多忙だ


2550
それは、違うだろう
古びた疑念
おもたく空を切るばかり


2551
渇いた喉から飛来する
悪意の固まりが
上空を飛び交っている


 


   [短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ


2552
山に登る、その前には
小石蹴ったり
花に手触れたり麓(ふもと)まで急ぐ


2553
麓から見上げる山は
とっても遠く
よそよそしいね、異郷の匂う


2554
気分は山気分
囚(とら)われて
一歩二歩と心ここにあらず


2555
先のことなんてどうでもいいさ
とりあえず
いいよと今ここを味わうって難しいなあ


 


   [短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続


2556
(きついな、ああ苦しいな)
まだまだ
半分も登ってはいないぞ


2557
(三分の二まで来ちゃったよ)
ああ風の
心地よく肌触れてゆくよ


2558
(あ、ああ、あー。あああー。)
とうとう
山頂に着いちゃったね


 


   [短歌味体Ⅲ]  山に登るシリーズ・続


2559
長蛇の列に並んで
帰っていく
そのかるーい気分で下ってゆく


2560
上りの重いフィルター
はがれ落ち
クリアーな景色の中をゆく


2561
山登りの物語を
ていねいに
内から語り尽くすは難しいな


 


   [短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続


2562
あの日あの場の記憶は
薄れゆき
おっとっとっとジグザグ言葉になる


2563
生ものも時とともに
変移する
(昔のわたしはどこ行ってしまったの)


2564
うとうとは油断大敵
土ぼこりの
でこぼこ道が舗装道になってるよ


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2565
言葉から手が出て頭出る
霧の中
〈アリ〉が地面に立ち走り出す


2566
幻といっても言葉のからだ
ありありて
待てえ待てえとずんずん来るぞ


2567
言葉にも口があり
深井戸から
わおわおおんと小さく響いて来る


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2568
〈あ〉の髪型が今朝はちょっと
違ってるよ
寝苦しい夢のせい?(あらあ)


2569
〈い〉のイントネーション
今日は
ちと重いね(いろいろあるから)


2570
〈うっ〉と言ったきり
無言。
回送か、救急車無音で行く


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2571
言葉の森で出会った
ひげ文字の
Ichの表情、ちょっとイヤだ


2572
言葉の森にも響き来る
店通りの
声張り上がる(らっしゃいらっしゃい)


2573
(へん、えへん、ヘンシーン!)
あらあらら
耳が二つ消え残ってるよ


 


   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2574
アクセルを踏み込んでゆく
まだらの〈あ〉が
青魚となり跳ね泳ぎ出す


2575
イメージの舟に乗り
青々と
照り映え進む〈あ〉の航跡の


2576
静けさのカーテン降りて
イルマニア
なつかしい音曲も流れる


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ


2577
おおここは、わがイルマニア
在れ!と言うと
現れるイルマニアの翼


2578
イルマニアの翼に乗って
時間旅行
するすると滑り降りるような気分いい


2579
こんなところにイルマニア
時間の
化石たち乾いてごろごろ


2580
誰もが身に付いた
接続法
を持っている(イルマーニア!)


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2581
ほんとの名前は知らない
昔から
ただ(いるまーにゃ)と言っている


2582
入留間荷屋でも要流真丹矢でも
かまわないさ
ただ心ののどを流れ下る(いるまーにゃ)


2583
うまく流れたかどうか
瞬時に
わかるさその地に住む人ならば


2584
(いるまーにゃ いるまああにゃ)
「おはよう」に似て
遙か彼方からかたち成してきた


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2585
〈イルマニア〉分解されて
〈イル〉〈マ〉〈ニア〉
手足もがれて無惨だなあ


2586
外人の話す(イルマーニ)
少し変でも
この地に近づき顔に見える


2587
イルマニア花咲く頃は
人集い
(いるまーにゃ)喜び流れる


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2588
たくさんの言葉語られ
ぶつかり溶け合い
ひとつ決まる〈イルマニア〉


2589
たくさんの言葉のしずく
こぼれ落ち
この地の水路を流れ始める


2590
この地の風の屈折率
が押し出し
響き渡る(いるまーにゃ)


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2591
数え切れない雲流れ去り
村も変わり
水路整備されてゆく


2592
やむにやまれぬと晴れがましいが
手を結び
〈イルマニア〉神社建つ


2593
小さなことに満足せず
むくむくと
雲の湧き出し株屋、神社に参る


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2594
太い柱、太いしめ縄
選択には
伸びゆくつながりの手の表情がある


2595
自然への引け目とツッパリが
溶け合って
次第に樹木は人の顔立ちになる


2596
祈の太文字が自然や人に
及ぶ時
その飛沫我らにまで及ぶ


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2597
ぽろぽろと言葉たくさん
こぼしながら
きみは言葉みちを食べ歩いて行くんだね


2598
手をつなぎ一二三と
跳んでゆく
心流れる言葉の飛び石


2599
おそらくは見よう見まねに
始まって
小さな心に言葉の家建ち始める


 


   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2600
(それはね えーとそれはね)
・・・・・・
言葉の手前の駅いつの間にか過ぎた


2601
晴れ上がった宇宙の青は
もうすでに
混沌の時を後にしている