ナース和月の、徒然日記♪
こんにちは♪

和月です☆

4年ほど前に書いた記事ですが、再度アップいたします。

何かのお役に立てれば、幸いです。

以下、聖隷三方原病院の横地先生が書かれた記事から、まとめてみます。

喉頭気管分離術と、胃ろう造設

重症心身障害児(者)の大半は食べる機能に障害を持っています。命をつなぐためにも、質の高い生活を送るためにも、食べる事は生活の中で重要な位置を占めます。そうした摂食障害に対し、どう対応するかは、重症心身障害児(者)の生活を決定づける最も重要なことのひとつです。


また、多くの重症心身障害児(者)は、呼吸困難を持っています。呼吸困難をもたらす原因のひとつに唾液の誤嚥があります。これは頻回に肺炎を起こし、肺機能を悪化させることにもつながります。唾液誤嚥は嚥下機能に障害があるから起こるのであり、摂食障害の重症な症候です。


重症心身障害児(者)の医療と福祉の経験を積み重ねることによって、以上に述べた摂食障害に関して、最近少しずつ変わってきた事があります。喉頭気管分離術胃ろう造設を今までより早期に実施するようになってきました。


喉頭気管分離術は、気管を切断し、呼吸と嚥下のための経路を分離する手術です。上気道狭窄(咽頭または喉頭部が、吸気時に狭くなること。)と唾液誤嚥のふたつが、重症心身障害児(者)の呼吸困難の主要な原因です。喉頭気管分離術は、このいずれの原因も取り除きます。


欠点は、声が出なくなることと、頚部に作成された気管切開口の管理が必要になることです。前者は、呼吸が楽になった結果、表情による感情表出が増えて、カバーされるはずです。

総合的に見て、この手術効果は大です。呼吸困難が改善し、唾液誤嚥による肺炎がなくなり、肺機能は維持されます。


ただし、この手術は適切な時期に行われなければなりません。肺病変が進展してから行ったのでは、この手術の意義は大幅に損なわれます。今までは、肺炎が何度か繰り返された後、誤嚥の重大さを認識し、この手術を行ってきました。これでは、遅きに失した場合があることがわかってきました。唾液誤嚥が肺炎症状につながる徴候がみられたら、この手術を考慮するタイミングと考えるようになりました。

呼吸困難から解放されて、肺機能を維持し、長い人生を営むには、躊躇(ちゅうちょ)なく喉頭気管分離術が施行されるべきと思います。重症心身障害児(者)にとっては、特別ではない医療処置として、この手術は受け入れられるべきです。

口からうまく食べられない場合は、食べやすい姿勢を探す、介助法を工夫する、食形態を変更するなどして対応します。これでもうまくいかない時は、経管栄養にならざるを得ません。

生まれつきの障害を持った人でも、経管栄養が開始される時期はさまざまです。新生児期、乳児期だけでなく、青年期、中年の時期にも開始されます。嚥下機能の低下は、老年期におこるものですが、重症心身障害児(者)では、これより早く起こる事が多いと言うのが経験的事実です。よって、経管栄養は重症心身障害児(者)で最もよく見られる医療処置です。


従来から、経管栄養の主流は、鼻から胃にチューブを挿入する経鼻胃管です。この方法の最大の利点は、軽度の身体的負担で抜き差し可能なことです。しかし、これには落とし穴のある事が最近わかってきました。胃泡音聴診によるチューブ位置確認をしていても、チューブが咽頭部でとぐろ巻き状態になっていたり、気管に誤挿入された状態を見逃しうることがごく稀にあるとわかってきました。こうした事態はごく稀だとしても、致死的な事故となります。一見簡便でも潜在的危険を秘めているということです。

また、チューブ挿入が困難な場合もあります。重症心身障害児(者)が年長となると、多くの場合、頚部を回旋し反らせた状態で関節拘縮となってきます。こうした頚部となると、チューブが咽頭から食道に入りにくくなるというのも経験的事実です。入りにくいので、硬いチューブを強い力で押し込むと、局所を傷つけ大事故になることがごく稀にあることもわかってきました。


本来、チューブという異物が咽頭部に留置されるのは煩わしいことです。このため、成人では経管栄養を永続的に要する状態となった場合、胃ろう(胃壁と腹壁に穴をあけてつなぐ)を内視鏡下に作るのが一般的です。(外科手術で作る場合もありますが。)以上の潜在的危険を考慮すれば、重症心身障害児(者)でも経鼻胃管の挿入が困難となれば、その時点で胃ろう造設に踏み切った方がいいと考えるようになりました。手術操作、麻酔に伴う危険もありますが、総合的には利益の方が大きいと考えます。



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