初めてサケを釣ったのは確か小学5年のころだったと思います。

 

(父方の)叔父さんが毎日通っており、その一角に竿を一本出させてもらいました。

 

当時は今の様なルアーやフカセ釣りはなく、河口付近の砂浜からのぶっこみ釣りのみで、あたり一面竿が乱立していました。

 

運よく自分の出した竿にサケ

(まさにアキアジ!!といったハナマガリのイカツイ雄サケ)

がかかり、竿先がグングンと引き込まれていきます。

 

無我夢中のあまりファイト中の記憶はありませんが、初めて釣り上げたサケに手が震えたことは鮮明に覚えています。

 

 

そんな地元でのサケ釣りですが、小学生の自分たちには、そのような一等地に竿を出せることは殆どなく、もっぱらあまり人が並んでいない、3級ポイントでのんびり釣りする程度でした。

 

だいたい季節は日本シリーズを行っている時期。

 

家に帰ってきて西武ライオンズの試合を梨を食べながら観戦する想い出とセットです。

 

 

小学生のころのサケ釣り紀行。忘れられない出来事があります。

 

その日は従兄のけんちゃんとその友達(Aくん)、そして自分の3人での釣行でした。

朝はのんびり家をでて、自転車で10分。

 

3級ポイントに9時ころ現着で、15時位までの釣行だったと思います。

 

はるか遠くに釣り人が見える程度。

周囲を気にすることなく、思い切り竿を振ります。

 

思いっきりとは言いますが、当時使っていた竿は、4Mグラスファイバーのめちゃくちゃ重い竿に4000番の大きいリール。

 

10号の道糸と仕掛けには30号のスパイク錘に、餌はサンマのぶつ切り。

 

小学生の自分たちは、せいぜい波の一段目を超えるところに「ドボン」と落ちる程度でした。

 

そんな状況ですので、もちろんアタリなど殆ど期待できず、鈴を竿先につけて、浜辺で貝を拾ったり、石を投げて水切りをしたりと、違う遊びに夢中です。

 

 

そんなとき、Aくんの鈴が「チリリリン!!!」と勢いよく鳴り響きました。

 

 

慌てて竿を見ると、竿たてごと倒れて、海に引きずりこまれそうになっています。

 

Aくんは猛ダッシュで竿に駆け寄り、アワセを入れて、リールを巻き始めます。

 

ものすごい力で竿先が「ゴゴゴゴッ!!」と引き込まれています。

 

あまりの力に友人の顔も青ざめてしまうほど。

 

「こんな強烈な引きだと糸が切れるかも!!」と思ったその時。

 

 

それまで一生懸命巻いていた糸の先が、どんどん空へと舞い上がっていきます。

 

 

「えっ、、、??」

 

 

魚がかかっているであろう、その方向をみてみると、30号の錘をぶら下げた大きなカモメが空を飛んでいきます。

 

 

そして次の瞬間

 

 「フワッ」と竿にかかっていたテンションはなくなり、カモメは悠々と飛び去って行きました。

 

あっけにとられた3人は、顔を見合わせた後に大笑い。

 

 

 「仕掛けが空に飛んでった~」

 

笑いながらも当時の小学生にとっては、高額だったサケ釣りの仕掛け。

A君のなんとも言えない表情が今でも目に浮かびます。

 

そんなにカモメがいる場所ではなかっただけに予想外の出来事でした。

 

A君は何かと「持っている人」で、その数分後には、浜辺に時折発生する「つむじ風」に巻き込まれ、舞い上がったペットボトルが頭に「コツン」とぶつかるオチまで付け加えてくれました。

 

 

結局さけはアタリすらありませんでしたが、家に帰って西武の優勝を見届けながら、思い出し笑いを繰り返す、楽しい一日となりました。