小学1年生のころ、学校から帰ってくると(おそらく午前授業だったと思います)、現場が早く終わった父の4WDが車庫にありました。

 

山仕事の父は、日曜日か雨の日くらいしか休みがなかったので、「父が家にいる!!」というだけで嬉しかった記憶があります。


時折、受け持ち現場の伐採や笹刈りが早く終わると、早上がりしてくることがありました。その日はそういったタイミングだったはずです。

 

庭先に父がおり、見慣れない釣り道具を用意していました。

「今行ってる現場にいい川が流れてるんだ」「〇〇さん(父の同僚)が、毎日昼休みにでっかい魚釣ってるんだ」「okazuも釣りにいってみるか!!」


それまで釣りなんかしかこともない自分でしたが、ものすごく胸が高鳴った記憶があります。

おそらく即答で「うん!!」と言ったはずです。

 

そこからは庭の土を掘り起こし、ドバミミズをとって空の缶詰に入れて、父の車で出発しました。

コンビニもないころだったので、途中の個人商店で手作りの握り飯とソーセージを買って、車中でほおばり、山の奥、そのまた奥へと進みました。

途中、4WDの車がギリギリ通れるくらいの山道や浅瀬の小川を越えていきます。


人よりもクマやキツネ、狸といった野生動物の方が多い世界。

普段、父が汗をかいて働いているところは、こんな「自分が知らない世界」であると、子供心に尊敬の念を抱きました。

 

そうこうしているうちに、桟橋のある川幅5メートル位のポイントにつきました。

 

竹竿とテグスに直結の針、ガン玉とかの錘を付けていたのかは覚えていません(おそらく父にそこまでの知識があったかどうか)。

ただ桟橋の下の淀みには、大きな魚がウヨウヨ泳いでいたことは鮮明に覚えています。

 

針に採ってきたドバミミズを付けて、無我夢中で川へ投じました。

 

結果は、、、


魚たちは餌には見向きもせず、一向に何も釣れない時間だけが過ぎていきました。


最初の釣りが見事なまでの「ボウズ」。


しかし、父と一緒に山奥の大自然を冒険できたワクワク感。

幼心に「釣り=ワクワク、楽しい」と強烈にインプットされたのかもしれません。

 

釣りバカとなる第一歩の出来事でした。