今回は、議会政治が欧州型から米国型に、模様替えした現憲法下から橋本龍太郎までの現代政治の内幕を語る。

 「バカヤロー(本書では伏字だが)解散」から採り上げているが、戦後の保守本流争を展開した吉田・鳩山との確執もさることながら、野党も西尾末広や江田三郎が社会党から袂を分かつ、政治改革の混乱での宮沢内閣や細川内閣の連立与党での内輪もめ等々、「怨みツラミ」が渦巻いて、それがまた予期せぬ方向へ向かった現代史。

 石原慎太郎が田舎者視した田中角栄だったが、都知事就任して以後の作家としてからは、その見方が変わった角栄への見方だったり、橋本内閣の組閣プロセスから見た沖縄など言葉が重きを置いていた平成を歴史として見ると、リアルタイムで生きた人間にとってある種の感慨を持って観ている。

 そして、今がネットの存在というものが言葉の重さが増しているのか、その実軽くなっているのではないかという中では、果たして議会制民主主義の有難味が薄れているのかしらという、一抹の疑念が澱として心に残る。