一般人が知るよしの無い刑務所の様相を、別の角度からの中の人が食事を軸に詳らかにした。

 娑婆もムショも食事は欠かせないものだが、刑務所は殆どを自力で行う。食事も炊事工場で調理するのだが、この食事を献立や、調理担当の受刑者の指導を担当するのは、管理栄養士である法務教官の仕事だ。映画で晩年の高倉健が工場で技術指導を行なうシーンがあったが、あのようなイメージかな?

 受刑者というレッテルを張られているが、炊場(炊事工場の略称)で悪戦苦闘する様子は不器用でかわいいものと見えるし、年末の年越しカップ麺の導入での受刑者、刑務官の団結する様子は、人の繋がりが立場の違いを乗り越えていく様が見えて微笑ましくおもえる。

 こうした様を理解することは、刑を全うして社会に復帰しやすくなる社会になっていけば、とりもなおさず市井の人にとっても住みやすい社会になるのだろうけれども。刑務所の食事の経費が一食600円弱と誤解されている世の中(一食ではなく一日)では、立ちはだかる壁が大きいと改めて嘆息する。