高校野球史上初の完全試合。それを起したのは、県内では強豪に入るけれども、進学校でもあり、そうした意味では普通と言える存在といえる選手たちの奇跡だったといえる。

 その奇跡迄の軌跡と、昭和の高校球児ありのままの姿を遺そうと当時の主将が書き遺さんと試みた。

 当時の様相もさることながら、自身や部員たちが刻苦して取り組んだ姿、ライバルの桐生高校や完全相手の比叡山などの対戦チームへの敬意、今となっては非科学的と言える練習の厳しさ、女子高の文化祭にいった淡くもほろ苦い思い出といった子供から青年への過程をありのままに描いていて、若い時に燃え立つものを持っていた人の幸せというのはこうだったのかという事を改めて知られる。そして、その時苦楽を共にした人とはいつまでも10代のままというのもまた幸せな事なのだろう。

 高校野球の手本と言うべき存在がここにあったのだ。

 因みに、真空ジェシカの川北茂澄の実父でもある。