監督・山下智彦 主演・松本幸四郎。

 火盗改方長官の長谷川平蔵のもとに、嘗ての若いころに出入りしていた居酒屋・盗人酒場の娘だったおまさが訪れ、密偵になるべく名乗りをあげるが、平蔵はすげなく断る。平蔵は、芋酒屋の主人裏で盗賊の顔を持つ「鷺原の九平」を追っていて、それを知ったおまさは自発的に九平を探る。そのさ中、凶賊「網切の甚五郎」の凶行が起こり、その急ぎ働きに九平が偶々遭遇したことなどで、おまさは網切一味に潜り込むことになるのだが…。

 

 先代の「中村平蔵」と較べると演者が若いことがあって、軽い印象が無きにしも非ずだが、火盗改の与力同心の面子は、本宮泰風、浅利陽介、山田純大が固め、おまさの中村ゆり、相模の彦十の火野正平、悪役の北村有起哉や志田未来、親子で出演している柄本明、柄本時生といった演者が痺れる。

 ストーリーは「血闘」にいろいろな話のエピを盛り込んでいる話で、こんなものかといった感じだが、それを差し引いても、時代劇の良さを改めて感じ入ったものだが、伏線を張って時代劇テレビを見せようとするのは商売っ気がみえて些かね…。