能條純一『昭和天皇物語⑭』小学館 | ある人の野球観戦記

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 関東軍と蒙古ソ連軍と国境線をめぐる軍事衝突が発生した「ノモンハン事件」から、三国同盟締結を及川古志郎海相が呑む平沼内閣から第二次近衛内閣までを描く。

 色々な人物が登場してきてそれぞれの思惑で動いているわけだが、割を食っているのが現場の人間であることは相変わらずのようで、ノモンハン事件では第23師団捜索隊長の井置栄一は退却した責を問われて自決に追い込まれ、その実現場で尻を叩いた辻政信はおめおめ生きて戦後にスターまがいの存在になっていたのだから、何をかいわんやという、後出しじゃんけんの立場の読者には憤りしかない。また、三国同盟を突き上げた海軍の石川信吾もA級戦犯ではないのかと思うのだが、A級に問われたのは指導者だったので問われなかったのだが、敗戦の責をとるのなら自決するべき人間が生き延びたというのは憤りを改めて覚えたのが今回だ。もっとも4年間で内閣が4人も代わる有様で、欧州が世界大戦に入っているのに手を拱いているも同然だったわけで、昭和天皇の苦悩が続くのだが。