毎日新聞日曜版の連載エッセイの書籍化。

 時系列に沿って並べている事で、当時の時事状況を改めて理解するとしても面白く読めるし、日常生活での疑問である「食材に~してあげる 擬人化してどうする」「検温 やってる感出すセレモニーに」など、些細な違和感ながら受け入れがたいそれをやんわりと窘めている紳士的な筆致は、大いに面白く感じたものだ。一方で自民党と統一教会のそれや、政治にたいする意見に違和感を持つ事はあるが、他人の持つ違和感への理解を示してくれていて、嫌な気分にならないのは、物事を考える上で大いに貴重な存在だと思わせる。