世にヤクザの話は映画やエンタメでは取り上げられる話だが、ここに書かれているヤクザの子弟の三者三様の光景は、おぞましいでは語れない悲惨な光景だ。

 暴力団過程で育った子供の様相をオムニバスで描いたノンフィクションだが、毒親とか親ガチャという言葉があるが、虐待というレベルで酷い話てんこ盛り。

 両親が揃って薬物の売人だったとか、ひとり親しかいないのにそれが荒んでいたり、家そのものによりつかないだとか、そんな中で育っていてそれしか知らずに育っていって同じような人生を送っていく。もちろん、まともに育っている人もいて、そういう人は親が真っ当な道に進ませようとしたり、その光景を反面教師にしたりだとか、更生する人もいるわけだが。

 暴力団に対する視点は、必要悪から存在を許せない存在に代わる時代に変わっていった中で、それが真っ当に生活出来ない稼業になっているなかで皺寄せが子供に回ってきた面も否定できないだろうが、それに代わる生き方への言葉を持っていない世の中にも問題ないわけではないだろうことを示している。