パスティーシュの良し悪しに作品のテイストを反映している度合いがあるが、中盤の小林少年が赤坂の地下道での冒険劇といい、終盤の明智小五郎の謎解きといい、著者の作品への敬愛ぶりが半端なく愉しめる一作だ。御年90を過ぎてこうした瑞々しい感性で書き上げている凄さと言ったらない。