トンデモ本・・・ | オカヤドはん:オカヤドカリと雑文

トンデモ本・・・


隠れ家でまったりの1号
(1号;ま、のんびり行きましょうや)
隠れ家の屋根を少し高くしてみました。
居心地がいいらしいです。
画質調整をして、人間の見た目に近づけていますが、限界はあり、実際はもっと暗い感じです。

 先先月、近くの書店に行った時に、オカヤドカリの本を見つけた。1年前に刊行されたものであるが、薄めの本で、タイトルは如何にもオカヤドカリの飼い方が書いてある本、に見える。が、実は単なる業者の宣伝本・・・。多少物議をかもしたヤツではない。


 記事はちょっと辛口です。ペットは、健康的に長く生きていてこそ、飼育が楽しいと思いますし、特にオカヤドカリのように10年以上(20-30年?)生きるものは、短命のペットとは異なる気の使い方をすべきと思います。



さて、

 著者は写真家で、写真と文を担当しているとある。写真はきれいなので、オカヤドカリの写真集であれば、別に良い。とは言え、生き物としての写真ではなく、観賞物としての写真であるが。生き物としての写真とは、例えば、ブックマーク先のHPさんで公開されている、生き生きとした写真だろう。そうではなく、生活感のまるでない写真である。


 著者がどういう人かは知らないが、読んだ限り、オカヤドカリを飼育したこともなく、生態について知っているわけでもないと思われる。オカヤドカリの事を知らない人が著者なあたり、タイトルとずれているな・・。協力は、とある業者である。実際には著者は写真を担当し、文、内容その他は業者と言うことだろうか(これは私の勝手な想像)。



 問題は飼育方法らしきものも記載されている事である(本当は飼育本のつもりとか?)。実際は業者のオカヤドグッズ(まあ、これも問題が満載だが)の宣伝で、内容は無い。しかし本のタイトルと合わせて、一見、飼育情報が記載されているように見え、誤解が生じる。まあ、このとおりに飼育すれば、1年以内に全滅する可能性大だろうな・・・。


 業者としてはその方がオカヤドカリが売れるので良いのかもしれないが(と皮肉ってみる)。オカヤドカリを死なせるための本が堂々と売られているのも、どうかねぇ。もちろん、オカヤドカリの事を知らなくとも、生き物の飼育に洞察のある人が見れば、飼育本でないことは一目瞭然だが。

 本の中で飼育方法と称しているものは、容器にオカヤドカリを放り込んで、動いているのを見て”癒し”と言ってみる、のと同等程度の内容しかなく、おそらく最初の脱皮で死亡するのが殆んどだろう・・・。もしくはそれ以前にストレス死するか、乾燥死するか。




 中でも、最大の問題点は、脱皮について何も書かれていないことだろう。脱皮の記載の無い飼育本は、無意味なだけでなく、危険ですらある。


 繰り返し記載しているが、オカヤドカリの飼育は、脱皮を如何に成させるかにかかっていると言って過言ではない。脱皮は命がけである。無事に脱皮をさせるために、普段からカルシウムその他のミネラルを摂取させる。ストレスをかけないようにする。そのためケージの環境、レイアウトにもそれなりに気を使う。

 脱皮に際しては、長期にわたり条件が安定している必要があり、そのような場所(湿り砂)を個体の数以上提供する必要がある。また、これらを備えた飼育環境が必要である。これが出来ないと、脱皮の時の死に繋がる。なんて事、何処にも書いていない。


 そして、1年のうち、2,3ヶ月(あるいはそれ以上)が脱皮期間であり、その間湿り砂に潜りっぱなしである。さらにいえば、飼い主はこの間心配が続く。


 ”癒し”を供給されない苛立ちから、脱皮前の安静期にいじくられてor掘り起こされて死亡しているオカヤドカリは、かなりの割合いると思われる。




 それ以外に気のついた事を、覚えている範囲内で列記してみる。突っ込みどころがありすぎて、まともにコメントするのも恥ずかしいが・・・。

・砂洗いは二週間に1回は多すぎ(かなり無茶)。二ヶ月に1回以下で十分。むしろ多すぎるとストレス死するかもしれません。そもそも、脱皮潜りの個体がいるため、洗えるのは半年に一度なんてこともあります。水分のコントロールは、必要ですが。

・乾いた砂を4cmくらい(?)敷いているだけだが、砂の深さはどんなに小さい個体でも10cm以上必要です。しかも湿った砂を使用する必要があります。ちなみに濡れ砂は駄目です。ニュアンスとして、湿り砂が必要です。


・本では乾き砂と水入れを入れているが、この飼育方法は難しく、死ぬことが多い。実際に、最初の秋口から冬にかけて、乾燥死もしくは、最初の脱皮でバタバタと死んでいるのは、乾燥砂での飼育に多いように思われる。湿り砂を10cm敷いておくだけで、ずっと楽に飼育できます。


海水の霧吹きは厳禁。 オカヤドカリがいずれ塩漬けになって死にます。海水は乾いたら、塩が残りますね。ちょっと考えたら解りそうなものだが・・・。

オカヤドカリへの直接の霧吹きはやめましょう。手足を落して死ぬ可能性が上がります。
 貝殻の中に水を溜めるため、直接霧をかけてあげるとの記述がありますが、それには水深のある水入れを使えば良い(必要)です。冷静に考えればわかりますが、世界中の天然のオカヤドカリに、人が霧を吹きつけて回っているわけではありません。また、オカヤドカリは、そんなにじめじめしたところには住んでいません。


ドーム型ヒーターの使用は厳禁です(なんとかアイランドとかの類)。オカヤドカリが干からびて死にます。ヒーターの上に水入れが付いていても意味がありません。


・紹介されているものは水槽が小さすぎます。最低45cmは必要です(これで1、2匹が無難)。初心者ほど良いものをそろえる必要があります。これは飼育一般に言えます。なお、オカヤドカリの専門品と自称するものは、どれも不要物です(使うと死ぬ可能性のあるものが多い)。


オカヤドカリを使い捨てカイロで温めるのは厳禁です。 高温か低温か低酸素で死ぬかもしれません(アタリマエ)。少なくともダメージは受ける可能性大です。


オカヤドカリの真水入れに海水を混ぜるのはやめましょう。死に繋がります。別々の容器で与えましょう。


・オカヤドカリのウォーターと称するものも危険です。 オカヤドカリの本当の専用水は、真水(湯冷まし)と海水です(別々の入れ物で)。


・オカヤドカリにケージに入れる植物名と写真を載せているが、甲殻類にとって害がないかの記載なし。毒性は自分で調べましょう。そもそも観葉植物を鑑賞のために入れることは、農薬の問題があるため、やめたほうが良いです。農薬のかかっていない安全な植物を食料として入れるのであれば問題ないですが。



・ペイントシェルはやめましょう。オカヤドカリの健康に良くありません。なお、私は、別の意味で、金魚に刺青をしたり、犬を着飾ったりするのと同様に、ペイントシェルに否定的です。


多分覚えていないことの方が多いと思うが・・・。



 それにしても、未だに意図的な誤情報を流すことが続いているのは何故なのだろう。オカヤドカリをどんどん消費した方が業者としては良いと言うことなのかねぇ。オカヤドカリよりも、オカヤドカリのグッズの売り上げのほうが圧倒的に多かろうから、オカヤドのためになることをしたほうが、いい商売が出来るように思うんだが。その程度のレベルと言うことなのでしょうかね。



 あえて言えば、オカヤドカリの飼育方法は、確立されており、netで公開されています。わざわざ間違ったことを広めようとする意図に、不快感を感じます。


 まあ、世の中に良くあることのひとつではあります。


 本当は、こんなことほって置いて、のんびりオカヤド飼育記を書きたいところではあるのだが・・・。

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オカヤドカリ飼育

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蓋は全開です。それでも湿度高し。


・本日のオカヤドカリ:全員砂の上。脱皮しないねぇ。

・食事:てんぷらシリーズ(かぼちゃ、ニンジン)、ポテトフライ、さくらんぼ(の種、果肉つき、と言うか食べ残し)投入、その他撤去。かぼちゃが一番人気。さくらんぼも位置は変わっているので食べているのかも。

・常設:朧月(枝ごと)交換。ガジュマル(一輪挿し)交換、ハクチョウゲ(一輪挿し)交換。カトルボン、桜の人工古木。ハクチョウゲは齧られています。ガジュマルは手付かず。

・温度:25℃ 湿度87%

・大潮は7/3-5



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(何とかならんかな。特に自称専門店とやらは・・・。)