春に実施された小学6年と中学3年対象の全国学力テストの結果が公表された。
都道府県別で格差が広がった。市町村や学校別ではさらに学力差が開いたと思われる。

多くの学校がテストへの参加を望んだ。子ども一人ひとりの答案からつまずきを見つけ、きめ細かな指導につなげる。そうした検証は、すべての学校に提供されるべきだ。
国や学校現場が指導の改善に生かすには、すみやかに全国学力テストを全員参加に戻すべきだ。

今回、希望参加校は独自に採点しなければならない。夏休み返上で採点にあたる先生方も多いことだろう。
民主党政権では競争を嫌う傾向がさらに強まり、事業仕分けで抽出率が当初の4割から3割になった。

予算を削るところが違うのではないか。全員参加の場合の予算57億円から抽出方式で33億円になった。しかし、貴重なデータが失われた代償は大きい。批判の多い高校無償化には4000億円が投じられる。おかしな話だ。

文科省の調査では都道府県教育委員会のうち「全員参加が望ましい」とする教委が7割を占める。多くの保護者が学校別の成績公表を望んでいるという調査もある。

学力テストの目的の一つには先生方の指導方法の確認や改善に気付くことが挙げられる。最終的には子ども達に跳ね返って来る。予算の削減が学力格差を助長したと言える。文科省及び政府の責任は重いと言わざるを得ない。