やがて00年代に入ると、その多くが摘発され、若手として暗躍していた内田らもお縄となる。その後、刑期を終えて活動を再開させる頃から、現在のようにメンバーが流動的に切り替わっていったと言います。
こうして最も力のある地面師たちが、オールキャストで集結したのが積水ハウス事件だったと見ています。
――積水ハウスを欺いたということは、やはり地面師たちは相当な手練れなのでしょうか。
森:もともと地面師の多くは、不動産ブローカー(物件売買の仲介役や不動産業者などが手に入れたい土地を買いまとめる調整役)や、地上げ屋(デベロッパーなどから依頼を受け、再開発用地を確保するため地主や賃借人との交渉・立ち退き・土地買収を専門に行う業者)です。
このような不動産畑で生きてきた人間は、最初から詐欺を企てているわけではなく、地主が売却を渋った際に「地面師詐欺に切り替えよう」と一線を超えていく。それだけ地面師たちは、土地や地主の情報を潤沢に持っており、デベロッパーも真偽を見極めづらい。弁護士や行政書士もメンバーに加わっているので尚更です。
――これだけ詐欺の手口が詳らかにされても、現に地面師による被害は後を断ちません。今後も彼らは暗躍していくのでしょうか。
森:根本的な構造が変わらない限り、根絶しないのではないでしょうか。
基本的にデベロッパーは、地主から土地を買う際に、本人確認の手続きを行う必要がある。そこで偽造パスポートや書類を使ってごまかすのが1つのパターンですが、偽造を見破れるかどうかは技術の応酬であり、いたちごっこの構図になっています。
加えて、地面師たちのやり口も巧妙化しています。これまでは地主になりすますのが定石でしたが、最近では会社ごと乗っ取ってしまうケースも散見される。株主総会の議事録を偽造して登記を済ませ、その会社が持つ保有物件を売り払うケースも増えています。
実際に、不動産業界への取材では、「あそこはどうも地面師たちが手掛けてる物件だ」という噂も耳にしますね。