優等生の親殺し。
理想的家庭内での暴力。
良性賢母のアルコール中毒。
素直で良い子の鬱病。
一見、何の問題もなさそうな家庭や人物が引き起こす事件。
それらの元をたどれば、
親子関係など家族に問題がある事を指摘している本「家族依存症」。
親が子を愛するのもはイイのですが、愛し過ぎればビョーキだし、
そういう愛情過剰な親に育てられた子供は、
「愛されていなければ気がすまない」というビョーキになってしまうそうです。
著者の斎藤学は精神科医として、
数々の依存症患者を治療してきた実績があるので、
読んでいて、とても説得力があります。
成功に囚われて、仕事に邁進するのも依存症だし、
虐待される事を許してしまうのも依存症だし、
食べすぎを繰り返すのも依存症なんですね。
自殺、暴力、薬物乱用、ギャンブル中毒など、
精神的な問題行動の根っこの部分には、
家族関係が濃密に絡んでいる事を知りました。
最近は、鬱病も薬で治せると言われていますが、
人は、家族や自分自身によって心を病み、
それを治すのは、薬ではなく、人によって治療される、
と著者の斎藤さんは言っています。
一番信頼し合える家族によって精神は蝕まれ、
その家族によって精神は救われるという、この矛盾。
最近のニュースによると、
日本の精神疾患の患者は300万人を超えたそうですね。
これ以上、日本の家族機能が低下してしまうと、
日本国民は、みんな精神を病んでしまうんじゃないかと、
とても心配になりました。
でも、この本には、精神疾患の分析だけじゃなく、
ちゃんと治療方法や回復方法についても触れているので、
病む前に、読んでおいた方がイイと思います。