日本でフランス料理店をやっているオーナーシェフが、

「フランスのシェフにおいしいと言ってもらえるような料理作りを目指してます」

という発言をしていました。


それを聞いて、すごく違和感を感じました。


たしかに、フランス料理をやっている人が

本場のフランス人に認められたらうれしいと思いますが、

それを目指す必要はないと思います。


その人がフランスで店を構えているのなら別ですが、

日本でやっているのだから、

日本人に喜ばれる料理を目指せばいいんじゃないでしょうか?


たとえばアメリカ人が日本の寿司屋で修行したとしても、

その人が、アメリカで寿司屋をするのであれば、

アメリカ人が喜ぶ寿司を作ればいいと思います。


もしその寿司が、日本の寿司職人から見て邪道であろうとも、

アメリカ人に受け入れられる寿司ならば、

むしろ邪道である方がいいと思っています。


国が変われば、食文化や歴史も違うので、

本場の料理と、その料理人の国との混血のような料理が新く生まれる方が面白いと思います。


日本の韓国料理を韓国の人が食べると、辛さが足りないそうですが、

それは日本の韓国料理なので、日本人向きにアレンジされるのは当然だと思います。


日本で売れないミュージシャンが

「ここがアメリカだったら、オレは絶対にスターなんだけどよ!」

と言っていると、バカみたいでしょ?


じゃあ、アメリカ行けよ、おまえ。

って事になるじゃないですか。


都会の一流店で修行した菓子職人が、

地方で店を開いて、まったく売れない時に言う決まり文句は


「ちぇっ、地方の客はオレのお菓子をまったく理解できないんだよなぁ。

 これだから、地方ってのは困るんだよ」 

です。


じゃあ、都会で店やったらええやん、

だし。

困るのは地方じゃなくて、おまえだよ、

です。


やはり、料理人も菓子職人も、

その店がある地域の人に喜んでもらう料理やお菓子を目指すべきだと思います。