夏の夕暮れ | くま店長のレモンクッキーのかけら
その事に気づいた ぼくは
驚きを隠すことが 難しかった

青空 入道雲 32℃の真夏日のこの街
連日続いた 猛暑日を乗り越えた後では
そんな今日ですら 過ごしやすく感じてしまう
ほのかな日焼けをした ぼくの体は
断りを受けることもなく
夏に支配されてしまっていた

夏の日射しで 洗濯物が
カラリと乾くかのように
カリッと  焼けた メレンゲ


卵白 砂糖 アーモンド たったこれだけ…
3つの材料だけなのに
導き出す味は 実に奥深い

じっくり焼き上げ香るアーモンドは芳ばしく
懐 大きい 顔見せる
ほのかな甘みは 口の中で広がり
スイートなやさしい顔見せる
サクッとほどける口当たり
どこか切なく どこかはかない顔見せる

様々な表情を持つ メレンゲに
ぼくは親近感を抱いた
そう硬派なぼくにも よく似ている

ブラインド越しの夏の夕暮れは
オレンジ色を やさしく こぼす
太陽は 明日を目指して 山を越えてゆく