都市伝説『引用』 | 今を生きる高校生

都市伝説『引用』

パソコンを持つ人間全てが関係あるこの話

  

これは、決してこれまで表に出る事の無かった話である。

 

そしてこの話は、今ここを見ている貴方と関係している話だ。

であるから、決して「自分は無関係」という前提で見ないほうが良い。

また、この話は知らないでいた方が、この不幸に遭遇する可能性が低くなる。

その為、知らずにいたいのならば、このページを早急に閉じる事をお勧めする。

 

何せこの話、パソコンを持っている人間ならば全員が遭遇する可能性を秘めているのだから。

 

そういう意味で、パソコンからこの話を閲覧している貴方とは深い関わりがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見て、しまいましたね。

 

 

 

それでは話を始めよう。

 

 

今ならまだこの話を知らずに済みますが、それでもまだ見るという方はどうぞ続きをご覧下さい。

 

 

貴方の持つパソコン。

普段の生活において、使用する範囲というのはせいぜいデスクトップやマイドキュメント。

そして、スタートメニューやCドライブくらいだろうか。

 

だが、よく見てみると…

そこには数多く良く分からない名前のファイルやフォルダが存在している。

 

一体これは何だろう?

 

一度は皆さんも見て不思議に思ったファイルなどがあるはずだ。

 

勿論、専門職についている方や、パソコンに詳しい方にはそういった類のファイルが一体何であるか

どんな働きをしているのかわかるのだろう。

だが、そうした方々は極一部であり、多くのパソコンユーザーは

見知らぬファイルなどを見ても、これが一体何なのか分からないとクビをかしげてしまうだろう。

 

 

 

 

さわらぬ神に祟りなし

 

 

 

 

その言葉どおり、そのようなファイルには手を触れぬようにしておいたほうが良い。

 

勿論、誤ってそうしたファイルを削除してしまった事で、何かのソフトやアプリケーションが

作動しなくなってしまう事だってあるのだから、よく分からないままファイルをいじることが

どれだけのリスクを孕んでいるのかは、何となくであっても理解している事だろう。

 

だが、それだけではないのだ。

このパソコンにも、そして貴方の今使っているパソコンにも隠された

ある秘密のファイルがあるという。

 

そのファイルとは、一言で説明するならばこうだ。

 

 

 

 

「呪いのファイル」

 

 

 

 

なんだ、ここまで引っ張っておきながら、なんてチープな名前なのだと嘲笑するのは待って頂きたい。

このファイルについて、実は知っている方も多く存在する。

 

実はこの呪いのファイル、パソコンユーザーの殆どが使用するOSである

オ●ィ●に必ず組み込まれているというのだ。

 

一体どのような性質を持つかというと、これを開くと…

そのパソコンを使った人間に不幸が訪れるというもの。

 

不幸の形は様々であるが、最終的にそれを見てから2ヶ月以内に死を遂げるというのだ。

 

なぜ、このようなファイルが組み込まれているのか。

そして、なぜこのようなファイルがあると知って、組み込むのをやめないのか。

 

ここが問題だ。

これを紐解くには、初期オ●ィ●OSの開発まで話を遡らせなければならない。

 

当時、開発チームは数人という少数のチーム編成であった。

チームには週に1度、開発の進捗を報告する事が義務付けられており、毎回目標を設定させられる。

週に1度の報告で、その目標が達成されていない場合、即チームの人員を入れ替えるという

非常に過酷な業務であったという。

 

勿論、その目標というのも非常に高いハードルを毎回要求されていたというから

相当なプレッシャーの中、開発は続けられていた。

 

そんな時、開発者の1人が手の空いた時間を利用し、あるファイルを起動すると

メッセージが画面に表示され、その後パソコンがフリーズしたように見えるという細工をした。

 

それは彼なりのユーモアであり、行き詰まる開発に対して痺れを切らせた経営陣と

常に多くを求める経営陣に対して不満を募らせた開発者達へ向けたサプライズのつもりだった。

 

勿論、サプライズであるから他のメンバーにもその事は伏せたままその週の報告会を迎えた。

 

その週は、開発が順調に進まずに報告を行うリーダーの歯切れも良くなかった。

それを察した経営陣は怒りを露にし、報告をしているリーダーの話を遮って

開発途中のものをいじくり始めた。

 

すると、見慣れないファイルが目に飛び込んできた。

 

そして、それを開いた。

 

画面は真っ赤に染まり黒い文字が画面に表示された。

 

 File of curse 

 

「 呪いのファイル 」

という意味だ。

 

多くを望みすぎる事、それを叶えられない事を望む者への怒りに転化する事

それは何かの呪いなのではないだろうか?

 

ここは冷静になって、そのような呪いに負けぬようまた一から始めないか?

 

これには、このような意味が込められていたという。

 

だが、開かれた時が悪かった。

このメッセージが伝わるわけもなく、彼なりのユーモアが受け入れられるわけもなく…

程なくしてこの開発者は即座に入れ替えの対象となり、職を失った。

 

そんな中でも開発は進められ、およそ1年後遂に完成を向かえた。

 

そして、完成した物を隅々確認する作業が行われた。

 

数日後確認作業を行った数人のスタッフが相次いで亡くなった

 

 

全員の死因は不明。

全てが「事故」として片付けられた。

 

 

だが、確認作業は無事完了していた為、開発されたものは問題なく製品化へと進んだ。

 

 

「呪いのファイル」で入れ替えの対象となった開発者の彼は、職を失ってから消息を絶ち

その後の彼を知る者はいなかった。

 

製品化が決定してから、開発に携わった人間全員を招いてパーティーが行われた。

招待された人間の殆どが出席したのだが、彼の姿は見られなかった。

 

パーティー中、彼とタッグを組んでいた元相棒は、こんな事をぼやいていたという。

 

彼はこの仕事に自分の人生を賭けていた。

だからこそ、あのギスギスした空気や、進まない開発に対して憤りを感じていたし

そこから早く抜け出し、スムーズに開発を進めたい。誰よりもそう考えていた。

だが、それは結局空回りに終わり、結果クビというなんとも皮肉な終焉を迎えた。

 

 

しかし、彼は入れ替えを言い渡されてから、最後にある作業をしたという。

 

 

自分の担当した箇所に初歩的且つ重大なミスを発見した、そこを修正したい。

そう言い、彼は最後の仕事を徹夜で行ったという。

 

そして、明け方赤い紙に黒い字で、こんなメモを残して自分の人生を賭けた職場を後にした。

 

 

 

 Developer’s course 

 

 

 

 

「開発者の呪い」

という意味だ。

 

 

それが一体何だったのか、何を意味するものなのか、元相棒でも分からなかった。

 

 

2006年現在、次々にグレードアップを重ね

今ではパソコンユーザーのシェアの殆どを占める事となったこの製品。

 

だが、その基盤は初期開発された物のグレードアップ版であり

基礎構造に関しての大幅な変更はされていない。

 

多くの者が関わったその製品の開発。

その段階の中で生み出されたものは多く、今でも使い続けられているものがあれば

即座に使用されなくなったものまで様々だ。

 

その中に、現在の開発者達が把握していないファイルがあるという。

 

だが、それは決して消す事は出来ないという。

 

何故ならば、消す為にはそれを見なければならない。

 

 

だが、それを見ると…

 

 

 

 

 

 

今も、そのファイルを偶然見つけてしまった人が、それを開こうとしている。